昨年まではGPSに頼ったチームが多かったが、今年は複数のLRFを使って周囲の地形を見ていたロボットが増えた印象。つくばチャレンジも3回目となり、有効な方法が見えてきたということだろうが、見る側からすると、同じタイプのロボットが多いのは、あまり面白くないのも事実。というわけで、最後にユニークなロボットを紹介して、本レポートを終わりにしたい。

磁気によるライントレース?

本走行に残ったロボットの中でも、極めつけに変わったシステムを採用していたのが、宇都宮大学 尾崎研究室チーム。ここからは「arim」と「ERIE」という2台のロボットが出場していたのだが、なんと、メインのセンサとして磁気センサを利用しているのだ。

こちらはERIEの方。外部にセンサが出っ張っていないので、聞いてみるまでは何のセンサで動いているのか全く分からなかった
コースでは、途中で少し誤差が出てハマる場面も見られたが、完走を果たした。スピードはかなりゆっくり(wmv形式 1.72MB 11秒)

地磁気により方角が分かるが、このロボットはさらに地磁気の微妙な差を活用している。地磁気は一定ではなく、場所によってわずかに差が出る。正しいルートの地磁気の変動を記憶しておき、それをライントレースのようになぞっていく仕組みだ。51分07秒と時間はかかったが、ERIEの方は見事完走を果たした。

こちらの赤いロボットがarim。プログラムは少し違うそうだ

見事なすれ違い

東北大学田所研の「anemone」は、セグウェイを使った2輪ロボット。このロボットは安定した走行で完走したのだが、終盤、コース上で車椅子の利用者とすれ違うハプニングがあった。ヒトとの共存が目的である以上、どいてもらうのではなく、ロボットが自ら避けて通る必要がある。ちょっと危なっかしかったが、anemoneは1分間ほどウロウロして、その横を通り過ぎることができた。

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停止ボタンを押そうかというギリギリのところで通過していった(wmv形式 4.72MB 35秒)

LRFを動かしてみる

千葉工業大学 fuRo アウトドア部の「B2.2」は、LRFで周囲を見るタイプのロボットであるが、モーターを使ってLRFを回転させていたのが面白かった。動かすことで、より広い範囲を見ることができるというアイデア。LRFは1個ながら、前方180°、上下50°の範囲が見えるそうだ。このロボットも見事に完走。

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途中で1回転しているのは、周囲の状況を詳しく見るためだとか(wmv形式 4.03MB 29秒)

クローラ型も登場

数少ないクローラ型ロボットが、圭司と愉快な仲間たち2009(東北大)の「ハマボウ」。こちらもLRFを回転させるタイプのロボットだったが、ジャイロのデータがずれてしまったそうで、迷走。公道に出そうになったところでリタイアとなった。クローラ型なのは、レスキューロボットの研究をしているためだ。

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2日前にセンサが壊れて、古いタイプを使ったという不運も(wmv形式 1.76MB 11秒)

外観の面白さは金沢

見た目がユニークだったのは金沢工業高等専門学校の「ねずみん」。昨年はウサギ型ロボットで見事な回避行動を見せたチームだったが、今年は序盤で迷走してしまい、140mでリタイア。回避モードに入ったまま戻らなかったようだ。今回は外観にこだわったチームが少なかったので、次回はそのあたりも少し期待したい。

広いスペースで迷ってしまい、別の道に向かったところでリタイア(wmv形式 2.88MB 20秒)
金沢工業大学demura.netの「けんせいちゃん2号機」の見た目もユニーク