まだまだあるぞ福井鉄道の見どころ

オークションの終了と同時にイベントも終了。最高額の落札は廃止になった鯖浦線西田中駅の駅名標で、なんと5万円の値が付いた。落札者は京都から参加した父子。福井鉄道の大ファンとのこと。注目されていた「モハ142-1」のナンバープレートは落札されず。最低落札価格10万円だったそうで、売れなくて残念だった。でも職員の方に聞いてみると「売れなくても……いや、正直、あんまり手放したくなかったというか……」だそうで。身を切る思いで出品したんだなあ、と胸の詰まる思いだった。

駅名標は5万で成約。ナンバープレートは売れず(左) 改札用の鋏は200円でゴキゲン(上)

さて、私はいったん武生に戻り、駅構内の電車を撮影。そして福井方面の電車に乗った。イベント以外にも福井鉄道には見どころが多い。まずは福鉄西鯖江駅。ここにはミニ資料館が併設されている。壁には福井鉄道の往時の写真がズラリ。この日はイベントで収納されていたけれど、中央部には福鉄バス車掌の歴代の制服が展示されているそうだ。見られなくて残念がっていたら、駅員さんが昔の福井鉄道の写真を出して見せてくれた。

武生駅機内の留置線

次の見どころはハーモニーホール駅。駅名の由来となったハーモニーホールの最寄り駅で、無人駅の簡素な構造のなかに音楽を示すデザインが取り入れられている。駅名看板がピアノだったり、駅名標にト音記号が書いてあったり。実は駅全体も楽譜に登場する音符や記号を連想させる姿になっている。

西鯖江駅。手前に資料館がある

ハーモニーホール駅とハーモニーホール

そして締めくくりは福井市内の路面区間。路面電車が路面区間を走る姿は当たり前。ところが200形のような鉄道車両も路面区間を闊歩する。この姿はやっぱりおもしろい。かつて名鉄にも道路併用橋があったけれど、それは橋という特殊な条件だからこそ。それが福井鉄道は当たり前のように大型車両が路面を走っている。どこかヨーロッパのLRTを彷彿とさせる。

全国のローカル線と同じように、福井鉄道も収益が思わしくない。しかし、2007年に「地域公共交通の活性化及び再生に関する法律」が制定され、今年2月に、全国の鉄道で初めて福井鉄道福武線の地域公共交通総合連携計画が認定された。今後は地元の要望に添った新駅の設置など、新しい試みも始まるだろう。見どころたっぷりの福井鉄道に、これからも頑張ってもらいたい。

夜の福井駅前駅

駅や電停に停まると昇降ステップが出てくる

軌道区間の分岐器には雪除けの覆いがある