ポートワインを前菜やデザートと合わせる
では実際にテイスティングしながら同時に提供された料理との相性も考えてみよう。
ポートワイン
・ホワイト
・ルビー
・LBV(レイト・ボトルド・ヴィンテージ)
・トウニー10年
・コレイタ96
・ヴィンテージ80
料理
・タラのコロッケ / チョリソ / オリーブ
・クルミ / アーモンド / スティルトン(青カビチーズ) / パルミジャーノ(ハードタイプチーズ) / ポンデケージョ(チーズ入りのモチモチとしたパン)
・エッグタルト / チョコレートムース
ホワイト
やや黄色がかったうすい琥珀色で甘いりんごの蜜やハチミツの香りはするが、飲んでみるとベタつき感はそれほど口にいつまでも残らない。デザートだけでなく、前菜にも合う。
好相性な料理: エッグタルト、タラのコロッケ、オリーブ
ルビー
とても深いルビー色。ブラックベリーのジャムや黒コショウのようなスパイシーな香り。熟成が若いので、甘いが口の中でひっかからない分スムーズに飲める。
好相性な料理: ポンデケージョ、エッグタルト
LBV
2003年収穫のブドウを熟成、瓶詰めしたもの。色はさらに濃いルビー色。煮詰めたプルーンや黒コショウ、丁子などが感じられ、深みとボディが加わった印象。
好相性な料理: チョリソ、パルミジャーノ
トウニー10年
紅茶のようなきらきらと輝く琥珀色。メイプルシロップやカラメルのような甘さと、アプリコットのような甘酸っぱい香り。ナッツやチーズと相性がいい。
好相性な料理: スティルトン、アーモンド
コレイタ96
1996年収穫のブドウを10年近い樽熟成を経て瓶詰め。チョコレート色に近い琥珀色。ドライプルーンやコーヒーのような焙煎香もする。甘さと奥深い酸が口の中を長い間支配する。少し苦味もある。
好相性な料理: パルミジャーノ、クルミ、チョコレートタルト
ヴィンテージ80
収穫年の1980年は優良年。「コレイタ96」よりもさらに濃い琥珀色。ブラックチェリーやコショウ、生姜といったスパイシーなニュアンス、木樽からくるバニラの甘い香りが感じられる。味わいにより深みと複雑性が増し、料理にも合うが、これだけで口の中で余韻をいつまでも楽しんでいたい。
好相性な料理: アーモンド、チョコレートタルト
講師の中林氏が「カマンベールの外側の香り」と表現していたのだが、これは熟成が進むほどに顕われる香りなのだそうだ。私の印象もホワイトから飲み進めるほどに複雑味と熟成感を感じ、料理との相性も、より刺激があるもの(スティルトンのような青カビチーズなど)や油分の多いもの(ナッツなど)などがぴったりと合ってくる。もちろん甘いデザートにも好相性なのはいうまでもない。
地元ポルトガルの人々はこれらをつまみながら、メインと同じくらいゆっくりと時間をかけてポートワインを楽しんでいるという。毎日を慌ただしく過ごしている我々現代人ではあるが、1日の最後の食事の締めくくりとして、ポートワインを1杯、ゆっくりと味わってみてはいかがだろう。