デモストレーションでは、Excel 2010においては、ひとつのセルのなかに小さなグラフを作成するスパークライン、数回のクリックで保存、共有、印刷などの操作ができるBackstageを紹介したほか、PowerPoint 2010では静止画や動画の編集が手軽に行えるようになったこと、Word 2010ではひとつのドキュメントを複数のユーザーが同時に修正作業ができる様子などを紹介。さらに、リッチクライアント版とクラウド版、モバイル版とで同じデータを表示し、シームレスな連携が行えることなどを示した。
「Office製品の作業環境を調査すると2割以上がカット&ペーストの操作だが、その操作の後に、元に戻すという作業を行う比率が非常に高い。つまり、データの貼り付けが自分の思ったとおりにできていないということがわかる。Office 2010では、そうした点まで踏み込んで問題を解決している」とする。
一方、Web Appと呼ばれるブラウザ版のオフィス製品については、「リッチクライアント版に比べて開発が遅れており、まだどの機能をブラウザ版に入れるかは最終的には決定していない。だが、ブラウザ版では、右クリックで出てくるメニューが違ったり、印刷エンジンを別のものを搭載したりといった形になるだろう。また、ブラウザ版は、リッチクライアント版を置き換えるというものではなく、より活用してもらいやすい環境を実現するための選択肢を増やすというものになる。さらに、リッチクライアント版はすべての機能が搭載されたスーパーセットとしての位置づけではなく、携帯電話版には入っている機能が、リッチクライアント版にはないといったものもある」(横井本部長)などとした。
Microsoft Office 2010は、すでに11月19日からパブリックベータ版の提供を開始しているが、「非常にポジティブな評価を得ている。ベータ版とはいえ、高いクオリティのものを提供しており、ぜひ体験してほしい」などとした。クライアント版では、32bit版に加えて、64bit版もダウンロードできる。
ダウンロードに際しては、Click to Run(仮称)という仮想化技術を利用した新たな仕組みを利用しているのが特徴。「ビデオのストリーミングと同様に、ダウンロードしたデータをストリーミングおよびキュッシュしながらダウンロードの完了を待たずにOfficeを使い始めることが可能。3MB分のダウンロードが完了すると、Click to Runによって、インストールプロセスを開始する。PowerPointは、ダウンロード開始から3分後には使い始めることができた」という。なお、Office 2010の具体的な価格については、現時点では未定とした。