2009年11月25日から28日までの4日間、東京・台場の東京ビッグサイトにて「2009 国際ロボット展(iREX 2009)」が開催されている。同展は2年に1度の開催で、第18回目となる今回のテーマは「『RT 次代への挑戦』 -Challenge fot the next-」と銘打ち、国内外のロボットメーカーおよび関連企業、団体、大学、研究機関など総計192社64団体856小間での開催となっている。

展示会場前の看板

各企業ブースでのロボット展示のほか、特別企画として大学・研究機関における最新ロボット技術や製品を展示実演する「RT 交流プラザ」のほか、経済産業省と日本機械工業連合会が2006年から実施する「『今年のロボット』大賞」の優秀賞受賞者21件の合同展示」なども行われている。また、最終日となる28日には、2足歩行のロボットバトル「ROBO-ONE GP」も開催される予定だ。

産業用からサービス用まで国内外のロボットが集結しているが、大半は産業用のいわゆるロボットアーム。これだけ見ても、巨大なものから小型、多軸のものまで各社各様の特長があるが、今回は同会場で興味を引かれたロボット/サービスなどをレポートしたい。

会場内風景

上体ヒューマノイドのロボットシステム

安川電機のブースでは、同社の全電気式産業用ロボット「MOTOMAN(モートマン)」シリーズ各種が実際に稼働デモを行っており、視覚・力覚などの判断能力を持つ片腕5kg可搬の双腕ロボット「MOTOMAN-SDA5D」および同10kg可搬の「MOTOMAN-SDA10D」による小形プラモデル組立て実演や片腕20kg可搬の双腕ロボット「MOTOMAN-SDA20D」による太陽電池モジュールの組立実演(フレーム、ジャンクションボックスの組み立て)が行われている。

SDA5Dおよび同10Dは、アームに力覚センサを内蔵させることで反力を高感度で検出できるほか、視覚センサでランダムに置かれた部品に対応可能という特長を持つ。半導体の洗浄装置などを手がける大日本スクリーン製造(DNS)と共同で、DNSの独自カラー処理技術とロバストな3D形状マッチング技術により、複数種類ワーク混在状態での3次元認識を実現する技術を開発しており、これにより、複数種類のものが混流している状態でも、必要なものを正しく取り出すことが可能になるという。

動画
「MOTOMAN-SDA5D」の動作の様子(wmv形式 1.7MB 14秒)
「MOTOMAN-SDA10D」の動作の様子(wmv形式 2.2MB 17秒)

一方のSDA20Dの太陽電池モジュール組み立てデモは、15軸の協調動作で人並みに複数作業を実現したもので、従来機比で約5倍の加速力で組み立て作業を短縮することが可能だという。

「MOTOMAN-SDA20D」

上体ヒューマノイドのロボットシステムとしては、安川電機のほかに、「HRP-2」や「HRP-3」などを手がけたことでも知られる川田工業のブースにて、「ヒトと共存できる作業ロボット」をコンセプトとした製造現場用途向け作業ロボット「NEXTAGE」を3台用いた連動デモが行われている。

NEXTAGEは、アルミニウム合金鋳造のフーレム構造を採用。片腕1.5kg可搬で、首2軸、腰1軸、腕6軸(片腕あたり)の合計15軸で構成されており、制御用OSにはQNXを採用、重量は20kgと持ち運びも容易になっている。

デモでは小形デバイスの製造模擬として、頭部と手部に搭載されたカメラにてテーブルのマーカーを確認し、位置などを把握、順次トレイから良品のみを取り出してそれぞれが異なる作業を行っていくということを行っていた。

写っているのは2台だが、この右側にもう1台を運んできて並べている

マーカーを認識して準備が完了すると右手を挙げる

こうした細かな作業が可能なため、セル生産方式や物流での仕分け作業といった部分での活用が期待されるとしている。

頭部のカメラで手を認識し、それを追尾するデモ

川田工業がこれまで手がけてきた人型ロボットも展示