5pb.より11月5日に発売されたXbox 360『タユタマ -Kiss on my Deity-』。そのオープニングテーマ「桜花春煌」を収録した「タユタマ主題歌集」が11月25日にリリースされる。「桜花春煌」、そして同じく収録曲で、エンディングテーマとなる「永遠を始めよう」を歌うのは、PC版やファンディスク、そしてTVアニメ版でもオープニングテーマを担当したKicco。そんな『タユタマ』を語るうえでは欠かせないKiccoに、「桜花春煌」や「永遠を始めよう」の聴きどころなどを語ってもらった。

11月25日にリリースされる「タユタマ主題歌集」のジャケットイメージ

Kiccoが語る「タユタマ主題歌集」

――ここまで『タユタマ』という作品では多くの楽曲を歌ってきましたがその感想をお願いします

Kicco

「『タユタマ』イコール"Kicco"というぐらいたくさんの楽曲で関わらせていただいたのですが、私自身もこの『タユタマ』という作品に出会い、歌を歌わせていただいていく中で、ようやく自分の中の"Kicco"という存在に一本の芯が通ったように感じています」

――『タユタマ』という作品についての印象はいかがですか?

「登場するキャラクターがみんな可愛いですよね。小さい太転依(たゆたい)がいっぱい出てくるあたりは、女の子も好きになるところではないでしょうか。ゲームももちろんプレイしましたし、TVアニメも一視聴者として観て、感動して泣いちゃったりしたところもありますね。自分の好きなキャラの内面が意外と自分に近かったりするなど、本当に大好きな作品です」

――自分に似ているキャラクターというと?

「『タユタマ』のキャラクターでは、アメリちゃんが大好きなのですが、アメリちゃんのダメっぷりが、私とすごく近い感じがしています(笑)。ダメっぷりが近すぎて、かえって可愛く見えてくるみたいな感じで、すごく共感できるキャラクターです」

――2007年の12月にデビューしてから、およそ2年が経ちますが、振り返ってみていかがですか?

「ようやく地に足が付いてきた感じです。すごく時間がかかったのですが、ここまで本格的にやってこれるとは思っていなかったですね。曲や作品に恵まれたと思っていますし、本当に曲や作品が良いものだったので、自分がふわふわした状態ではマズいと思い、一曲ずつ、それに見合ったレベルに自分を高められるように努力してきました。なので、少しずつではありますが、レベルアップしてきているのではないかと思っています」

――ライブでのパフォーマンスもかなり安定してきましたね

「先日行われた『Live 5pb. 2009』のときは、いつもとはちょっとテンションが違っていたんですよ。いつもは裏で『ああ、どうしよう、どうしよう』って、ずっと緊張してニヤニヤしている感じなのですが、今回こそはちゃんと楽しまなければという気持ちを前面に押し出して挑んだんですよ。やはり緊張もあって、歌がうまくいかなかったところもあるのですが、ステージ自体はすごく楽しめましたし、そのあたりは観に来てくださったファンの方々にもちゃんと伝わっていたようです。やっと『Kiccoです』って自信を持ってステージに出られるようになったと思っています」

――これまで歌ってきた歌の中で、Kiccoさん自身のターニングポイントになったのはどの曲だと思いますか?

「やはり自分の中では『瞬間スプライン』ですね。その前に『ARIA』のオープニングテーマ『graceful way』で初めて志倉(千代丸)さんと出会ったのですが、その収録での志倉さんのスパルタっぷりが楽しかったというのがありまして(笑)。『瞬間スプライン』は、それまでの私が歌った中では最速の、すごいテンションの曲だったのですが、こういう曲も歌えるんだなっていうことと、こういう曲もたくさん歌っていかないと幅が広がらない、レベルが上がらないなって思えた曲でした」

――さて、今回リリースされる「桜花春煌」ですが、このタイトルにはどういった意味が込められているのですか?

「春の代表的な花である桜は、咲いてしまうとすぐに散ってしまうのですが、春そのものを輝かせる煌きを持っているんですよ。本来持っている力というものは、寿命の長さによらない。つまり、『タユタマ』の世界でいえば、太転依など神様の生きている寿命と比べると、人間の寿命はほんの一瞬でしかないのですが、そんな短い期間でも強い力を持って煌くことができる。そんな意味合いを込めたタイトルになっています」

――最初に曲を聴いたときの感想はいかがでしたか?

「言葉ひとつひとつに『和』の感じがすごくあって、今まで歌ってきた『タユタマ』の曲とはちょっと違うなって感じました。でも、これまでの『タユタマ』の爽やかな感じや温かい感じは全然損なわれていないんですよ。曲を聴いて、ましろちゃんの巫女さんの格好や鵺ちゃんのお着物といった『和』のイメージが浮かんできて、すんなりと曲には入り込むことができました。ちゃんと『タユタマ』のイメージは残っているのに、違うものを歌っているという不思議な感覚がありますね」

――レコーディングはいかがでしたか?

「私の一番苦手な"笑顔"で歌うというのができなかったんですよ。これまでから『タユタマ』の曲は"笑顔"で歌うという指示が出ているのですが、"笑顔"を意識すると、歌が雑になり、歌に集中すると笑顔が維持できなくて、タユタマの爽やかな部分が薄れてしまう。その繰り返しになってしまいまして……。日々修行だなって思いました(笑)」

――歌詞の中で印象に残っているところはありますか?

「2番の『夕暮れ参道……』のところは、作品をすごくイメージできるので好きですね。私の場合、歌うときはいつも勝手に脳内オープニング映像を作っちゃうんですよ(笑)。歌っているとどんどん入り込んでいって、そのときに思い浮かんだキャラが、勝手にアニメとして頭の中で動くんです」

――今回の曲ではどういったイメージが浮かびましたか?

「やはり"和"柄な感じですね。あと花吹雪。この『夕暮れ参道』のところが一番絵にしやすかったです。いろいろなキャラクターが出てきて、夕暮れの神社でみんなで笑っている絵がイメージできましたね。そして、ここが踏み切り板になって、ホップステップジャンプでサビに入っていくといった感じです」

(次ページへ続く)