1. 二年子大根
関西では時無し大根と呼ばれている。根部は細長く、肉質は硬い。辛味が強いのも特長。首が土表に出る青首大根とは異なり、土の中にもぐるタイプ。収穫が大変なことから、生産者から敬遠され、栽培されなくなっている珍しい野菜。煮物、漬物などに合う。生産地は長崎県
2. 雲仙コブ高菜
長崎雲仙地区の伝統野菜。根元(写真中央)にコブができる変わった形状が話題に。戦後、長崎県吾妻町の峰真直さんが中国から引きあげて来る際に種を持ち帰ったことで日本に伝わったとされる。高菜なのでピリッと辛味があり、茎も葉も食べられる。おひたしや炒め物に。
3. カリフラワーロマネスコ
白いカリフラワーとブロッコリーを足して割ったようなユニークな見た目のカリフラワー。中央の花蕾(からい)は薄緑色で、とがった塊がいくつもある。その姿は山が連なるよう。ビタミンCを豊富に含む。
4. 札幌大球
とにかく大きい! 写真右が約10kgの札幌大球、左が通常のキャベツ。その差は歴然。北海道ではニシン漬けの素材として利用される大型キャベツ。
5. アピオス
別名ホドイモ。ネイティブ・アメリカンが栄養食としていた豆科植物。日本にはリンゴの苗木についてきたことで伝わったという。親指の先ほどの小さな粒だが、栄養満点。昔は、産後や病後の栄養補給に食べられた。皮ごと茹でて塩を振って食べるか、素揚げに。産地は青森県。
6. ひもとうがらし
見た目が紐のような細長~い唐辛子。奈良県に伝わる伝統野菜の一種だ。別名ひぼとう。中には辛いものもあるが、生でかじってもおいしく、まろやかな辛さのものが多い。果肉がやわらかく、天ぷらやサラダなどに合う。
7. 白ナス
皮も中身も真っ白なナス。皮はやや硬めだが、果肉は加熱するとやわらかくなる。焼きナスにして醤油とかつお節をかけたり、田楽味噌をつけて食べるのがオススメ。産地は和歌山県や群馬県。皮の色が茶色く変色しやすいので、早めに食べよう。
8. ひろっこ
早春に出てくるあさつきの芽。ビタミンB1の吸収を助けてくれるスタミナ野菜でもある。白い部分はスライスして水にさらし、かつお節と醤油をかけて和え物などで食す。薬味としても使える。産地は山形県。
9. 紅芯大根(こうしんだいこん)
カブのように丸型で中が赤い大根。生産地は長崎県。わずかな衝撃でヒビが入るなど、栽培がとても難しくデリケートな野菜である。生のままサラダや浅漬けにするのがオススメ。赤色は加熱すると消えてしまうので、色を残したい場合は、酢水にさらすか、酸味のあるタレで調理するとよい。
10. 聖護院大根
京野菜の1つで、大型の丸大根。江戸時代の終わりに尾張の国から京都府左京区聖護院の東にある金戒光明寺に奉納された宮重大根という大根がルーツ。当時、宮重大根が一般的な大根に比べて長くて大きかったことから、聖護院に住む篤農家がもらい受け、採種したことが誕生のきっかけとか。肉質がキメ細やかでやわらかいのに煮崩れしにくく、その上、とろけるような口当たり。辛味も少なくほんのりと上品な甘味がある。
11. 赤ねぎ
主に山形県や茨城県の一部地域で栽培されているネギで、赤紫色になるのは土壌の影響によるものとされている。独特の風味と甘味があり、軟白部から葉まで丸ごと食べられる。泥つきのものは、新聞紙に包んで冷暗所で保存するか、白根の部分に土をかぶせておくと長持ちする。
12. 黄金千貫いも
皮が白く、中は黄白色、ややゴツゴツとした形のさつまいも。見ためは無骨だが、キメ細かくて旨みとコクがある。でんぷん質が多いので、でんぷんや焼酎用など加工食品用として利用されることが多く、九州以外ではほとんど出回ることはない。地元では青果として販売されている。焼き芋、天ぷら、かりんとうなどにオススメ。
13. 長崎赤かぶ
長崎県の伝統野菜。きれいな赤紫色が特長。肉質がやわらかく食味がとてもよいが、今ではほとんど栽培されなくなった希少もの。赤紫をいかした甘酢和えや汁の実、煮物、漬物などにも合う。
14. そうめんかぼちゃ(金糸瓜)
火が通ると果肉がそうめん状にほぐれるので、そうめん瓜とも呼ばれる珍しいカボチャ。繊維質たっぷりで、シャキシャキとした食感が楽しめる。三杯酢、マヨネーズ和え、炒め物、椀の具などに合う。
15. やぐらねぎ
大抵のネギには、種をつくるために小さな花が集まったネギ坊主ができるが、やぐらねぎには花はほとんどつかず、代わりに葉の先端に子ネギがつく。ネギの上にまたネギができるという仕組み。その姿が櫓(やぐら)に似ていることから、「二階ねぎ」「灯台ねぎ」「軽業(かるわざ)ねぎ」などユニークな名前がついている。産地は長崎県。
年間約100種類を選定
「いと愛づらし」とは、「珍しい」と、古語の「めづらし(すばらしい、かわいらしい)」を掛け合せたものだという。言い得て妙なり。ユニークで珍しい野菜がこんなにあるとは改めて驚きである。同社ではこのような野菜を、毎年一部を入れ替えながら約100種類も選定しているのだ。
益さんは野菜の選定方法を次のように説明する。「伝統野菜を積極的に作っている生産者や、伝統野菜を多く取り扱う種苗店の方、当社の会員さんなどで"いと愛づらし百選選定委員会"を結成しており、みんなで話し合って決めています。また社内には、専属バイヤーもおり、全国の産地を訪れて新しい野菜をつねに発掘しています」。珍しいもの、面白いものはもちろんだが、歴史的あるいは学術的にも生産の重要度が高いものを優先的に選んでいるという。
こういった同社の取り組みが影響してか、その認知度を高めつつある野菜もある。コブの形がユニークな雲仙コブ高菜だ。「特にコブの部分がコリコリして美味しい」と賞賛されるこの野菜は、イタリア・スローフード協会において、未来に残すべき野菜「味の箱舟」にも選出され、広く認知されるようになってきている。生産地である長崎雲仙地区の農業活性化にも、同社が貢献していると言えるのかもしれない。
同社の会員になると、旬の野菜を10種類盛り込んだ野菜のセットボックス「ぱれっと」(毎週宅配2,205円~)を必ず購入することになっているのだが、これらの野菜のうち約2割は「いと愛づらし名菜百選」の野菜になっている。
もちろん季節に応じて、単品で「いと愛づらし名菜百選」を購入することもできるし、「いと愛づらし野菜セット」(1~3品がセットで840円)というお得なセットもある。さらに、それらの商品にはおすすめレシピなどをまとめたリーフレットを付け、初めての野菜でもおいしく調理できるように配慮している。
今後も「珍しくてあっと驚くような野菜をご家庭の食卓に届け続けたい」話す益さん。「なかなか量産できないような難しい野菜にも挑戦したいです」と抱負を語った。