「カルビ」

肉を叩いたものを牛骨にくっつけて、骨付きカルビ風に成形した焼き肉。手間はかかるが、これは王様が食べやすいようにわざわざこのような手順を踏んでいるのだ。肉感の強いハンバーグのような食感で、確かにやわらかく食べやすい。

「カンジャンケジャン」

カニの醤油漬け。ケジャンといえば辛いものが一般的だが、こちらは塩気がきいたまろやかな醤油味。身がトロリとしていて、濃厚。

全般に上品な味わいで、日本人の味覚にぴったり。だしをきかせたり、細やかな下処理も施してある。素材も多彩で、調理法も様々。17品あってもそれぞれに味わいが違い、最後まで飽きずにいただける。かなりのボリュームではあるが、野菜が多いこともあり、食後もたれることもない。

デザートは、晴れていれば庭へと場所を移す

さらに食後は、晴れていれば庭へと場所を移してのデザートタイム。デザートは水菓子(スイカ、ナシ、パイナップル)、シナモン系の香りの餡入り餅、シッケ(もち米入りのすっきりとした甘いお茶)。雰囲気も優雅で、大満足のランチタイムとなることだろう。

ここで少し書いておきたいことがある。実は、実際に韓国旅行をして宮廷料理を食べた人からは「とてもおいしかった! 」という声はあまり聞かない。"安ウマグルメ"を期待して韓国に行く人も多く、確かに5,000w~6,000wも出せば、副菜がたくさんついた牛骨スープやビビンバが楽しめることを考えると今回紹介したコースは高価ではある。その分、期待が膨らみすぎて、残念な評価に結びつくのかもしれない。

しかし、そもそも宮廷料理を出している店は、日本で言えば老舗料亭のような場所。今回紹介した「必敬斎」は、料理だけではなく、建物自体に雰囲気もあり、優雅な気分にさせてくれる。カジュアルな飲食店では、かなり大雑把なサービスの店も多いが、同店ではきめ細かな対応をしてくれる。味わい、サービス、雰囲気の総合点がかなり高い店舗として、皆さんにオススメできる。辛いものが苦手という方も、宮廷料理はちょっと……という方も、ぜひ、機会があれば行ってみてほしい。韓国料理や宮廷料理のイメージが一気に変わることだろう。