BlackBerry開発者会議
11月9日から12日まで、米国サンフランシスコ市でBlackBerry Developer Conference(開発者会議)が開催された。これは、毎年BlackBerryの開発元であるRIM(Research In Motion)社が行っているもの。
こうしたイベントの常として、最初に今後の方向性などを語る基調講演が行われる。ここでは、出荷の始まったv5.0の今後の方向性が示された。それによれば、Webブラウザは、将来的にWebKitをつかったものが登場し、iPhoneやAndroidと同等のものとなるという。また、3Dアクセラレータを搭載しているStormに対しては、OpenGL ES(3次元表示ライブラリOpenGLの組み込み版。ESはEmbedded Systemの略)が提供される予定だという。
BlackBerryのJava開発は、Eclipse(IBMが開発しオープンソースとして提供している統合開発環境)をベースにしており、Eclipse 1.1用のプラグインの提供が開始された。また、アプリケーションの画面デザインのためのGUI Builderや、テーマ(BlackBerryは、ホーム画面の背景やアイコンなどをテーマとして設定できる)作成のためのTheme Builderの提供が予定されている。
BlackBerry Widgetsの開発では、マイクロソフトのVisual StudioやAdobe Dreamwaver用のプラグインなどが提供される。Widgetsは、表示をHTMLとCSSで行い、これをJavaScriptで動作させる。このため、通常のWebサイトの開発環境が利用できる。プラグインなどは、こうした開発環境をBlackBerry Widgetsに適合させるものだ。
また、新しいAPIとして、広告表示や支払いのためのサービスが用意される。これにはちょっとした背景がある。現在、モバイル用のアプリケーションマーケットでは、iPhoneのApp Storeが人気だが、ここでは競争が激化しており、アプリケーションの値下げ競争が始まっている。このため、ソフトウェアメーカーの利益率が低下しており、将来的な破綻が懸念されている。多数販売可能とはいえ、ソフトウェアのコストの大半は人件費であり、容易にはコストダウンができないため、価格が下がってしまうとコストを回収できない可能性が出てくる。
広告や支払いのサービスは、こうした問題に対応するため、アプリケーション内に広告を表示させたり、ソフトウェアの価格を安価にして、サブスクリプションにより費用を回収するなどの対策を行うためのものだ。特に広告サービスは、広告代理店各社のシステムの差をBlackBerry側で吸収し、アプリケーションは単一のAPIを使うだけで広告を表示できるようになる。こうした複数の広告システムに対応するのは、BlackBerryが最初になりそうだ。
そのほか、地図や現在位置取得のためのサービスも用意されるという。これを使うことで、位置に応じたサービスの変更などが可能になる。
iPhoneやAndroidよりも先に登場していたBlackBerryだが、今回の開発者会議を見る限り、最近の流行にあわせてAPIを用意するなど、システムを強化する方向に切り替えたような印象を受ける。もともと企業向けのシステムとしてスタートしていたため、どちらかというと堅い印象のある同社だが、APIを用意するなど手堅い方向と、ハードウェアやシステムを最近のトレンドにあわせていくという両方の戦略で、競争を乗り切るようだ。