もう1つのクラウドサービスが、Windows Mobile 6.5搭載端末発売と同時に国内でも展開される「Windows Marketplace for Mobile」だ。これはiPhoneのApp Store、AndroidのAndroid Marketと同様に、Windows phone向けアプリの配信プラットフォームとなる。
Windows Marketplace for Mobileは、Windows phoneからだけでなく、PCのIE上からも購入が可能で、PC上で購入したアプリはWindows phone側に自動配信される。PC側にソフトウェアをインストールする必要はない。購入はクレジットカードで支払う。
Windows phoneの場合、アプリ配信はMarketplaceを使う必要はなく、直接ダウンロードしてインストールすることもできるため、Marketplaceでは「(アプリの)数を追求していくことは考えていない」(同)ため、Marketplaceでは良質のアプリが厳選して掲載される予定だ。Marketplaceを利用するには開発者側に売り上げの3割を支払うなどの料金が必要なため、それを望まない開発者は自ら配信することも可能だ。
その代わり、Marketplaceは世界で同じアプリを配信できるメリットがあり、マイクロソフト側でも各国のキャリアなどにアプリを推薦し、海外での普及をフォローする仕組みを作った。マイクロソフトはPC向けにはパートナーとの関係を強化するエコシステムを構築しているが、「PCで成功したエコシステムをモバイルに」(同)持ち込んだのがMarketplaceのメリットの1つだという。
コンテンツプロバイダ(CP)では、カプコン、コナミ、プロペ、レコチョクの代表者が登壇し、Windows phoneとMarketplaceへの期待を表明。さらに「戦略的パートナー」(堂山氏)として紹介された集英社は、マンガ「ドラゴンボール」の配信でマイクロソフトと提携。集英社の常務取締役・鳥嶋和彦氏は、世界40カ国で2億冊を販売したドラゴンボールでも、「まだ届かないところがある」と指摘。「大人の事情」(鳥嶋氏)で子どもの元に届かないマンガを、世界で同時に楽しめる「世界征服」(同)の夢を叶えるために提携を決めたと鳥嶋氏。さらに鳥嶋氏は、Googleのブック検索を念頭に「勝手に自分たちの都合を世界に押し付ける会社ではなく、著作権も配慮して世界に配信できる会社はどこか」(同)というスタンスでマイクロソフトとの提携に踏み切ったという。来年以降は、さらにプラットフォームを拡大して配信していく意向だ。
マイクロソフトでは、「(クリエーターや開発者の)創造のサイクルを殺さないことが一番大事」(堂山氏)であり、「大事なのはOSではなく、その上にあるゲームやコンテンツ」(同)とのスタンスでMarketplaceの拡大を目指していく考えだ。