デジタル技術をパブリックアートに応用した、まったく新しい展覧会「空気の港」が、10月9日から11月3日まで羽田空港にて行われた。主催は東京大学「デジタルパブリックアートを創出する」プロジェクト、日本空港ビルデング株式会社。
同展覧会は、文化芸術を出口とする先端的技術研究プロジェクト「デジタルパブリックアートプロジェクト(略称DPA)」の集大成。独立行政法人科学技術振興機構の支援下で、東京大学大学院情報理工学系研究科の廣瀬通孝教授を代表に、2004年より5年計画で研究が進められてきた。
これまでも、青山スパイラルガーデン「木とデジタル」展(2007年5月)、オーストリア・アルス・エレクトロニカ「東京大学キャンパス」展(2008年9月【共催】)などの展覧会を開催。いずれも5,000人を動員するなど一定の成果をあげてきたが、展示はあくまでも建築内部のスペース。"パブリックアート"というには、より本格的な場所での実験を必要としていた。そして今回、最終成果発表の場に選ばれたのが羽田空港だった。
展覧会名でもある「空気の港」のコンセプトについて、アートディレクターを務めたアーティスト・鈴木康広氏はこう語る。
「空港は人や荷物が行き交う場所であると同時に、空気という目に見えないものが行き交う空間。"空港=空気の港"であり、そこを訪れた人が自分の日常を振り返り、新たな自分に気づき、自分の内面へと離陸して行く場所、それが空気の港です」
作品は全19点。展示はメイン会場である羽田空港第2ターミナルB1F「若い芽のひろば」を中心に、第1・第2ターミナルなどに散在している。次ページから、主な作品を紹介する。