また、会場にはドコモと民間他社が共同で開発した、災害時に役立つ製品の展示が行われていた。

製品の展示が行われていた本部棟のエントランスの様子

地域貢献型自動販売機は、コカ・コーラ社とドコモが提携して開発された製品。災害時に自動販売機内の飲料を無償提供することが可能で、2007年3月25日に発生した「能登半島地震」では、輪島市ふれあい健康センターに設置された。6日間で1551本の飲料の無償提供を実施した実績がある。

販売機の上面には電光掲示板が設置されており、遠方から災害情報・避難情報などを配信することが可能。ネットワークにはFOMA網が使われており、クライアント機1台1台に対して個別に情報が配信できるため、被災地域別に木目の細かい情報提供が可能になっている。

この自動販売機では、お金を入れなくても、ボタンさえ押せば商品が出てくるようになっている。飲料水のディスプレイの上には電光掲示板が設置されている

災害時に役立つUメットは、谷沢製作所製。ヘルメットにはCMOS30万画素のカメラが装備されており、IEEE802.11b/gの無線LAN、FOMA(3.5G)のモバイル通信網が利用できる。これにより災害時に現場作業員はハンズフリーで作業が行え、管理者は作業員の視線の先をリアルタイムで把握することができる。音声通話にも対応しており、録画、GPS機能、Uメット装着者が倒れたときのアラーム送信機能など、現場での安全性と作業効率の向上を目指した製品になっている。

Uメットで撮影された動画は、FOMAデータ通信カードとモバイルルータを通して、パソコンのディスプレイに映し出される

FOMA網を利用して映像・音声を送受信できる装置「mmEye-DXM」は、ブレインズ社製。最大384kbpsのFOMAパケット通信に対応しており、高圧縮コーデック(H.264)を実装しているため、高画質で滑らかな動画を扱える。送信機にビデオカメラをつけ撮影、FOMAカードまたはFOMA携帯電話を利用して受信機側にパケットを送信する。受信機ではFOMAカードでパケットをうけとり、モニターに映像を映し出すことが可能(FOMA回線交換も利用できる)。展示機の隣には時速300kmで走るF-1マシンに本送信機をつけ撮影した映像が公開されていたが、走行中も全く映像が乱れることがなく、通信性能の確実性をうかがい知ることができた。また、別途「mmEye-iCAST」という中継装置を用いれば、mmEye-DXMの映像データをFOMA携帯電話機10台程度に、同時に配信することができるという。これにより、例えば災害現場に向かう車中でモニターがない、という場面でも携帯電話で確認ができるので、利用シーンが広がるだろう。

mmEye-DXM(写真左手前)は質量も500g以下と、持ち運びに便利な機器。ビデオカメラと、FOMAカードまたはFOMA携帯電話を接続して使用する