NTTドコモは5日、国営東京臨海広域防災公園(有明)にて、「2009年度NTTドコモグループ総合防災訓練」を行った。同社では毎年、地震などの災害時にライフラインとしての携帯電話サービスが確実に行えるように、一連の作業の確認と習熟を目的として総合防災訓練を行っている。
今年度は、首都直下型地震により、無線基地局のサービス停止および無線基地局への商用電源の供給停止が多数発生した状況を想定。それらを復旧する訓練が行われた。具体的には、東京の本社機能が影響を受けた状況下での、災害対策本部から現地作業部隊への指揮命令系統の確認、復旧作業内容の習熟、万一に備えたシステムのバックアップへの切り替えなど通常行わない作業の確認と習熟に重点が置かれた。また、大規模な災害で必要に迫られる社外関係機関との協力体制を確認し習熟することを目標に、陸上自衛隊、警視庁との連携訓練も行われた。
午前10時、東京湾北部を震源とするマグニチュード7.3の首都直下型地震が発生。首都圏を中心に甚大な被害が発生し、23万棟が全壊・火災消失、650万人の帰宅困難者が発生し、避難者は約700万人、通信は110万回線に異常をきたしたと想定した。会場では、2台の白バイに先導され、移動基地局車、移動電源車などが続々と被災地へ向かう場面がシミュレートされた。
通常、携帯電話の電波は最寄りの基地局が受信するが、基地局が被災した場合に基地局の代わりとなり応急的に電波を受け、ネットワークにつなげる役目を果たす支援車が移動基地局車である。また、基地局では予備の電源を確保しているが、長時間の停電には対応できない。そんなときには、移動電源車が現場に急行し、電気を供給する。
丸の内支店、渋谷支店、新宿支店に災害対策本部を設け、永田町の本社災害対策本部と連携し、被災地での携帯電話や充電器の貸し出しなどの支援活動を行うという訓練も行われた。実際に、2007年7月16日に発生した新潟県中越沖地震の際には同様のサービスを提供し、iモード災害用伝言板の運用に関しては58,372件の登録があったという。
続いて、会場には発動発電機を積んだ陸上自衛隊のヘリコプターが着陸した。発動発電機はすぐにトラックへ積み替えられ、被災地の基地局へ送り届けられた。
移動基地局車はアンテナを高く伸ばし、発動発電機が到着すると、その電源を利用して通信サービスを開始した。
訓練は滞りなく終了し、最後にNTTドコモ取締役常務執行役員の二木治成氏から総括があった。今回、訓練でヘリコプターに複数回乗る機会があったという同氏は、空から見る東京の美しさが感動的であったことに触れ、それだけに災害での被害を想像すると恐ろしいものがある、と語った。そして、携帯電話が私たちの生活の中で重要度を増す中で、これからもより有効的な防災対策を検討、実施していきたいとし、閉会の言葉とした。
今回の防災訓練の会場となった公園は現在まだ建設途中で、公園として一般に開放されるのは来年度以降の予定。公園の一角にある本部棟は、首都直下型地震などの大災害が発生した場合、建物内に防災担当副大臣を本部長とした緊急災害現地対策本部が設置される防災拠点になるという。