ビジネスのスケジュール管理には、Webカレンダーやプロジェクト管理ソフトなど、デジタル系のツールが便利だ。予定やToDoをリマインダで確実に実行したり、メールや各種ドキュメントと関連づけたり、グループでカレンダーを共有するなど、便利で効率的なスケジュール管理に役立つツールが数多く提供されている。スマートフォンが注目されている今、ツール類を連動させてさらに便利に使いこなす人も増えてくるだろう。
こうなると、やはり紙の手帳は先細りしていく運命なのだろうか。いや、どうもそうではないようだ。東急ハンズに聞いてみると「ここ数年販売量に変化はありません」という回答。デジタルの環境が一般化したことで、「かえって手帳や筆記具の人気が再燃している」(同)傾向も見られるそうだ。現在、仕事はほとんどPCでこなすという人でも、小学生の頃は8面筆箱やロケットペンシル、キャラクターの鉛筆キャップなど、文具の企画やスペックに敏感だった人が多いことだろう。たまには"所有する"感覚を味わったり、アナログの質感に触れたいときもあるのかもしれない。
ロフトで最近の傾向を聞くと「以前は手帳がタイムマネジメントの道具であったが、今は心が通う自分の分身のようなモノになってきている」という。単にスケジュールを管理するだけでなく、仕事も生活も含めて日々の事柄すべてを共にするパートナー的な存在だということだろうか。
確かに、スマートフォンやWebカレンダーに予定を入れて管理することはあっても、その予定の結果やその日考えたこと、食べた物など1日の記録を入力しているという人は少ないのではないだろうか。ではブログやSNSを使うか、というと、これらは他人が見ることを前提にしているため書きにくいこともあるし、ちょっとした思いつきや食事の記録などは、わざわざ毎日PCに向かって入力する労力が煩わしいと思えるかもしれない。これに対して、手帳はごくプライベートな記録も、他人にとっては意味のない事柄も全て受け止めてくれる。また、これらの記録を振り返ってみるということにおいても、手書きの手帳には利点が多いと言える。
では、こうした人たちが望んでいるのはどんな手帳なのだろう。売れ筋の傾向を聞いてみると、A5などの大きめサイズのものや、メモ欄・フリースペースの充実したものの人気が高いようだ。予定だけでなく、様々なことを記録していきたいという思いが反映されているようだ。スケジュールだけでなく、記録を付けることで自分自身をマネジメントしたいという意図が、そこにあるのかもしれない。