ハイエンドゲーミングユーザー向けに用意されたのが、TPQシリーズの1200W版である「TPQ-1200」だ。8センチファンながら、PWMダブルボールベアリングファンを採用することで静音性も確保、Intel Core i5/i7のスリープモード電流要件にも対応する。6つの+12V系統をもち、将来的なアップグレードに対応する38Aの電源だ。そしてこの製品をゲーミングユーザー向けとして方向付けているのが「PowerCache」技術だ。

「PowerCache」技術とは、ケーブル上にコンデンサを搭載することで突発的な負荷増大に備えるもの。「最新のビデオカードは多くの電力を要求します。突発的に負荷がかかった時にも出力電力があまり低下しないことで、安定して利用できるようになる」とRichards氏。この機能がゲーミングユーザー向け機種にしか搭載されていないのも、こういった特性からだ。

TPQ-1200

PowerCacheの効果

そして、この「TPQ-1200」をベースにさらにコアなユーザー向けとして作られたのが「TPQ-1200 OC」だ。これはファンスピードと+12V出力を調整する外部ダイヤルが取り付けられたモデルで、オーバークロックに対応できる。「TPQ-1200 OCは受注生産です。手作りのモデルなので、仮に今注文を受けたとしたら年末から年明けくらいに届けられると思います」とRichards氏。

TPQ-1200 OCに配される2つのダイヤル

OCP搭載状況

これらの4製品全てに搭載されるのが、「OCP」(過電流保護)だ。これは家庭でのブレーカーと同じような役割で、負荷の高さから電源不良が起こり、さらに他のハードウェアにもダメージを与えることを防ぐ役割を持っている。技術的に目新しいものではないが、近年ではあえて非搭載にするメーカーが多い中で、Antecは新製品の全てに搭載したのが特徴だ。

「普段は大事さがわからないが、問題が起きた時に必要性のわかる機能です。OCPを搭載しない方が80PLUSを取りやすいこと、知識のないユーザーにはハイパワーな電源に見えることなどから搭載しないメーカーも多いが、Antecでは安全性は最重要課題だと考えています」とRichards氏は語る。

また、電源製品に関する誤解を解くための啓蒙活動も行いたいとしている。特に強調されたのは、継続定格出力とピーク出力の違いについてだ。「継続定格出力とは電源が継続的に供給できる真の出力のことです。ピーク出力が高い製品でも、実際に安定的に供給されている出力はずっと低いケースがよくあります。Antec電源は安定的かつ継続的で質の高い電力を供給します」(Richards氏)。

継続定格出力とピーク出力