持続性のある社会にICTは貢献する - 富士通 伊東千秋氏
富士通 取締役副会長の伊東千秋氏は、環境や持続性(サステナビリティ)の視点から語った。
「持続可能な社会のため、将来の社会コストを削減する必要がある。ライフスタイルを変える必要がある」と伊東氏は述べる。ICTはスマートな方法で生活するのに大きく貢献する。持続に必要なイノベーションを促進するという。
伊東氏はその例として、スーパーコンピュータを挙げる。「スーパーコンピュータを利用したシュミレーションにより、新薬や新素材、画期的な端末を開発できる」と伊東氏、「それだけでない。新しい考え方を支援し、想像力をサポートする」。
もちろん、その中心にあるのは人間だ。「コンピュータは革新できない。イノベーションは人間からうまれる。ICTは生産性の増加、エネルギー効率化を支援してきた。将来は、コラボレーションを通じて集まる人間の集合知を作成できる」と期待を寄せた。
「次はモバイルブロードバンド」- インドBhartiのCEO
インドの複合企業でモバイル事業を傘下に持つ、Bharti Enterprises のCEO、Sunil Bharti Mittal氏は、インド経済の状況から話を始めた。
「インドは人口が多く、若い世代が多いので、世界不況の影響を大きく受けていない」とMittal氏。ICT業界は引き続き成長中で、「携帯電話の絶対成長率は中国を上回った」と述べる。月間新規加入者数500万 - 700万を目標としていたが、数カ月前に1,500万人を達成したこともあったという。
今後の方向性は、ブロードバンドだ。「携帯電話で実現したマジック(魔法)をどうやってブロードバンドで実現するか」とMittal氏。デジタルデバイドの問題は深刻で、ヘルスケア、教育などで問題がある地域がまだある。ITU、政府、業界で解決する必要がある。「遅れている。一刻も早く、インドにブロードバンド革命を起こす必要がある」とMittal氏。カバーエリアだけではなく、安価に利用できることも重要だと続ける。
「銅線を敷くかだって? ノーだ」とMital氏。インドでは固定加入者数は減少に転じているという。「ファイバは十分にある。海底ケーブルもある。問題はラスト1マイルだ」。そこで、同社が有望視しているのはモバイルブロードバンドだ。「3G、HSPAがモバイルブロードバンドの最初の着火点となる」(Mittal氏)。将来的にはLTEに進む、と予想した。
Mittal氏によると、うまくいけば3Gオークションは年内という。
ネットワークがもたらす効果測定を呼びかけるNokia Siemens
10月1日にCEOに就任したばかりのNokia Siemens Networks(フィンランド)のRajeev Suri氏は、オペレータが直面する課題を鋭く指摘した。
「トラフィックは急増しており、4倍増のところもある。だが、オペレータの売り上げは増えていない」とSuri氏。モバイルブロードバンド時代、データは今後さらに増加する。「2008年から2009年の間、固定のデータトラフィックは50%増、これは2015年ぐらいまで同じ成長率と予想している。一方、モバイルでは2007年から2008年に4倍に膨れ上がった。今後さらに伸びるだろう」とSuri氏、2015年には、モバイルトラフィックの94%はデータという予想もあるという。
売り上げが頭打ちというオペレータの課題に対し、Nokia Siemensはモバイルデータをマスに安価に提供しつつ、収益性を維持するのを支援しているという。
その1つがモバイルデータのTCOに関する調査だ。現在、TCOは月額46ドル。途上国が通信に費やす予算は限られており、TCOを低くしつつ、マスに提供する必要がある。「このためには、端末の価格をはじめエコシステム全体が動く必要がある」とSuri氏。
「ICTは経済に貢献するが、実際にどのぐらい利用されているのか、政府、教育などにどのぐらいの影響をあたえているのかを調査/把握する必要がある」とSuri氏。そして、ITUに対し、「標準化ですばらしい作業をしている」と評価し、「今後は、長期的な活動も展開すべきだ。人々の役に立っているコネクティビティを測定する。これは、社会経済を加速するだろう」と提案した。