2009年10月よりTBSほかにて放送開始となったTVアニメ『にゃんこい!』。そのエンディングテーマ「Strawberry ~甘く切ない涙~」を歌うのは、声優としてはもちろん、アーティストとしても活動中の今井麻美だ。
今井麻美が語る「Strawberry ~甘く切ない涙~」
TVアニメ『にゃんこい!』のEDテーマとなる「Strawberry ~甘く切ない涙~」は、10月29日に発売されるPSP『大正野球娘。 ~乙女達乃青春日記~』のオープニングテーマ「Kissing a dream」との両A面シングルとして、2009年10月21日にリリースされる。限定盤には「Strawberry ~甘く切ない涙~」のPVを収録したDVDが同梱されるなど、まさに注目の2ndシングルについて、その楽曲はもちろん、彼女なりのアニメテーマ曲論やPV撮影のエピソードなどを、今井自らがじっくりと、そして赤裸々に語ってくれた。
――まずは2ndシングルのリリースが決定したことについて最初に聞いたときの感想を教えてください
「デビューさせていただいたときは、ちょっと実感がわかないなという気持ちが強かったのですが、2ndシングルについては、何となくぼんやりとしたイメージですが、きっといつかお話が来るだろうって思っていたんですよ。もちろん、『絶対に来る』って自慢げに、自信ありげに思っていたわけではないですが、そういった意味では、2ndシングルが決まりましたよって聞いたときは、素直にうれしく、ありがとうございますって普通に受け止められました。でも、まさかそれがアニメのエンディングテーマになるなんて話は聞いていなかったので、『え? 何言っているんですか? またまた冗談を』って、本当に動揺しちゃって、デビューのときと同じような感覚になってしまいました(笑)。アニメのエンディングだよって言われて、うれしいという気持ちが湧き上がってくるまでにはしばらくかかりましたね。『ウソでしょ!』って気持ちが強かったですから」
――アニメのテーマソングということについて、今井さんなりの思い入れのようなものはありますか?
「アニメのオープニング、エンディングというのは、私にとっては重要な存在でした。子どものころは、そのアニメのオープニングやエンディングが好きかどうかで、本能的に観る番組を決めていたような気がするぐらいです。やはり昔から歌がすごく好きだったので、アニメから流れてくる曲を一緒に歌える喜びみたいなものが強かったんですね。今でもそうですが、小さいころから声が大きかった私は、アニメを観ながらフルパワー全開で歌っていたりしたんです。なので、きっとご近所からの文句があったかもしれないのですが、両親は、特にそんなことで私を叱責することもなく、伸び伸びと育ててくれました(笑)。子どものころからアニメーションが好きだった私にとってみれば、そうやってオープニングやエンディングがどれほど大事なものかということを体感していたので、今回『にゃんこい!』というアニメのエンディングを私が歌わせていただくことによって、それと同じような感覚になってくれる人がいるのかな、いたらいいなっていう期待と不安が、最初は入り混じった感じでした。"あの曲を聴くとあのころを思い出す"というものの典型だと思うんですよ、特にアニメのテーマソングは。もちろんドラマにだって主題歌はあるのですが、私にとってはアニメのほうがそういったイメージが強いですね。録画したり録音したりする機器がうちになかったころは、頭で覚えるしかなくて、一所懸命に歌詞をノートに書き起こしたりしていたんですよ。そうやって歌を覚えていたころの感覚が浮かんでくるので、アニメのエンディングテーマと聞いたときは、とてもうれしかったのと同時に、はたしてどうなっていくのだろうっていう怖さと期待が入り混じった感じでした」
(ここで実際にアニメのED映像を観ながら)
「私、第一話目の放送日当日、うっかり寝ちゃったんですよ……。本当にすいません。ネコがかわいいですね。親御さんに見せても安心な感じで……、ときおりドキドキしちゃう作品もありますからね、何とは言いませんが(笑)。……これはまた、爽やかに仕上がってますねー」
――それではあらためて映像を観た感想をお願いします
「どのような絵になるのかは知らされていなかったんです。とにかくネコちゃんがたくさん出てくるアニメなので、エンディングの映像にもネコちゃんがたくさん出てきたらいいなって思っていたのですが、それが実現していたのでちょっとうれしくてニヤニヤしちゃいましたね(笑)。私は『にゃんこい!』の"こい"担当だってスタッフさんに言われていたんです。"にゃん"担当はオープニングを歌っている榊原ゆいちゃん、"ゆいにゃん"ですね。私はエンディングの"こい"担当なので、どんな感じになるのかなって思っていたのですが、すごく素敵な仕上がりになっていたのでうれしいです。ビデオに毎週、同じものですがズラして録画したいですね(笑)」
――ズラして録画するとは?
「小さい頃やりませんでした? とにかく私はオープニングとエンディングが好きだったので、まずビデオテープにオープニングから録画するじゃないですか、そうしたら次はエンディングを、テレビを観ながら"よーいスタート"で続けて録画するんですよ。そうするとオープンエンドで繋がるじゃないですか。それでまずニヤリとするわけですよ(笑)。そして、オープンエンドの楽曲が途中で変わったら、また続けて録画していくんです。これを延々と続けていって、私のコレクションにしていました」
――オープンエンド専用のテープがあったわけですね
「ただ、すごくケチっていたので、だんだん重ね録りによってビデオテープが劣化していくのが悲しかったですね。オープンエンドだけを録画していたわけではなく、まず第一話は普通のオープニングからエンディングまで録って、第二話のときに本編を録らずにエンディングだけを録画するんですよ。で、三話以降はその後に普通に録画していって、歌が変わったらまた最初に戻ってオープンエンドを残していくという感じだったので、だんだんと画質がザラザラになっていくんですよ(笑)。まだビデオを持っていなかったころは、カセットデッキですね。私、NHKの夜やってたアニメがめっちゃ好きで、あれが終わってしまうときは本当に悲しかったんですよ。毎週金曜日に食い入るように観ていたので、それが最終回になって二度とオープンエンドが聴けなくなるのが悲しくて……。当時の私にはCDを買うという発想がなく、何とか私の記憶に留めておきたいと思って、ラジカセをテレビの前に置き、テレビの音量を最大にして、よーいスタートでピッて録ったんですよね。居間のテレビだと、ちょうどその時間は家族がごそごそと動いているので、両親の部屋を借りてですね、両親の部屋の小さいテレビで録ろうと思って部屋にこもっていたんですよ。それで『よし! 録るぞ!』って録音を始めたら、お母さんが『ご飯よー』って来ちゃって(笑)。引き戸をガラッと開けようとするので、とっさに右足でガッとブロックしたのですが、そのときの『ゴン』という音と、お母さんの『あら?』っていう声がうっすらとテープにも録音されちゃって……。もうそれがショックでショックで、本当に泣きましたね。『お母さん、言ったのに~』って(笑)」