セッションでは、ジョージア工科大学のAugmented Environments Labで取り組んでいる以下のようなプロジェクトが紹介された。

BragFish:マーカーで区切られたゲームボードを、カメラ付きのハンドヘルドを通して覗くと池に変わる。ボートを移動させながら釣果を競うフィッシング・ゲーム。現実の世界でプレーヤー同士が接触すると、ボートがぶつかり合って、タイミングが良ければ魚を奪える。プレーヤー同士のコミュニケーションやふるまいがゲームに反映される

Art of Defence:机の上に配置したマーカータイルを、Nokiaの携帯電話を通して見るとマップが浮かび上がる。マーカータイルを組み合わせて陣地を作り、敵の攻撃から自分の塔を守る。ARスペースをプレーヤーがコントロールするのがポイント

ARf:バーチャルペットのiPhoneアプリ。机の上にマーカーを置き、iPhoneを通して見ると子犬が現れる。画面に指で触れたり、マーカーを追加するなどしてペットと交流する。同じ机の上で、他のプレーヤーのペットも配置し、仮想スペースを共有できる

ARhrrrr:シューティングゲーム。Tegraを搭載したハンドヘルドを通じてゲームボードを見ると、ゾンビが徘徊する街が広がる。ゾンビを撃ちながら、街の中にいる自分を守る

AR Facade:インタラクティブストーリー「Facade」のAR版。プレーヤーはHMDを装着して本物のアパート内を移動。その先々で出会う2人のキャラクターと会話またはジェスチャーでコミュニケーションする

ARゲームでは、通常のゲーム以上にレイテンシが問われる。今日のモバイルユーザーにとって身近な存在はARfまでであり、ARhrrrrのような複雑な3D世界、AR Facadeのような広いAR空間は、これからのアプリケーションとなる。

一方でMacIntyre氏は、コンテンツやサービスとの結びつきもAR普及の課題に挙げた。今日のカジュアルなARアプリケーションであっても、たとえばFacebookやFlickrといったソーシャルメディアと組み合わせられれば、ユーザーにとって価値のあるARソリューションになる。そのためには研究者やエンジニアだけではなく、今後はコンテンツやサービスのプロバイダ、コンテンツクリエイターにもARを手がけるためのツールを広げていく必要があるとした。