引き続き、パナソニック AVCネットワーク社 ITプロダクツ事業部 市場開発グループ グループマネージャー 島田伊三男氏とITプロダクツ事業部 テクノリジーセンター レッツノート総括 参事 坂田厚志氏が、Let'snote冬モデルの中で「CF-S8」「CF-N8」に絞って製品紹介を行った。
今回の進化のポイントは、世界トップクラスの高速モバイル性能、世界最長時間駆動、高速モバイル通信の3点。WiMAXなどの高速モバイルサービスが始まり、モバイルの環境が整ってきている中、高性能なメインマシンでありながら、オフィスでもモバイルでも使える快適に持ち運べるマシンを目指したとした。
利用シーンを考えると、メールやインターネットをしながら、グラフィックスを処理するなど、複数のソフトを同時に起動し使うことが一般的になってきている。また、セキュリティの関係でバックグラウンドではバックアップソフト、ウイルス検索ソフト、HDDの暗号化ソフトなどの高負荷な処理も同時に行っている。従来は、B5サイズのマシンに高負荷処理が行える高速CPUを搭載することは難しかったが、「CF-S8」「CF-N8」ではCPUとしてIntel Core 2 Duo P8700(2.53GHz)を採用。モバイルマシンでよく使われる超低電圧版CPUに比べて2.5倍の発熱量を持つが、パナソニック独自の効率の高い放熱設計により、搭載できるようになったのだ。
その効率的な放熱設計の一例が、既存のファンを放熱に使うのではなく、ファンメーカーと一緒に羽の形にまでこだわったものを製作したこと。基盤設計と合わせ、気流の抵抗・流れを考えながら最適な設計を行うことで、ファンのサイズを約30%縮小しながら放熱の効率性を向上させた。これにより、2GHzを超えるような標準電圧版CPUの搭載が可能となっただけでなく、約1.7倍のスピードアップを果たしたとした。
駆動時間では、「CF-S8」「CF-N8」は標準バッテリで約16時間駆動という長時間駆動を実現。従来も8時間~11時間駆動を実現してきたが、今後WiMAXなどの高速通信環境では、マシンを屋外に持ち出した上で無線通信を利用することが多くなるため、電力消費量も増えてくる。また、一般的なノートPCユーザーを調査すると、バッテリが切れて悔しい思いをした経験があるユーザーが72%にも上る。このため、バッテリ駆動時間にはさらにこだわり業界最高容量のバッテリを採用。液晶バックライトにLEDを利用することで電源回路の効率化も果たした。単純に駆動時間を延ばすだけなら、バッテリを大きく重くすればよいが、こういった設計により「CF-S8」「CF-N8」では軽量でありながら長時間駆動を実現した。これは、自社でバッテリを作ってきたパナソニックだからできたこととした。
高速モバイル通信では、ワイヤレスWAN(3G携帯通信)、WiMAX、無線LAN、Bluetoothの4種類の通信に対応。それぞれの利用シーンに応じた通信が選択可能。パナソニックでは、携帯電話事業者のような無線通信の試験設備を持ち、自社でアンテナの最適な設計を行っているとした。
頑丈設計について、モバイル用途では、壊れにくいという要素が必須となっているとし、デモも実施した。荷物を詰め込んだバッグにPCケースなしでLet'snoteを入れ、満員電車のような混雑した場所に持って入っても液晶割れなどがない「耐100kg級タフボディ」設計を行っている。万が一キーボード部分に水をこぼしても、ウォータースルー構造により水は基板内に入り込まない。また、一般的な机と同じ高さの「76cm動作落下試験」、かばんに入れた状態での落下の衝撃を想定した「30cm落下試験」を実施していることを説明。会場では、この水をキーボードにかけるデモ、机の高さから落とすデモも実施した。
内部基板の一部は、フローティング構造と呼ぶ浮いたような状態となっており、落とした場合でもボディ自体がゆがんで衝撃を吸収し、基板に影響が及ばない。HDDについても衝撃緩衝材(ダンパー)で包む独自の構造を採用。激しい使い方をしていても短期間で壊れることはなく、長期間使ってもらえるようなマシンに仕上げているのだ。
最後にインテル 代表取締役社長 吉田和正氏が登場。世界でのモバイルPCの比率が高まっていることを説明。優れたモバイルパフォーマンスを備える同社プロセッサがそれらモバイルPCをサポートしているとした。さらに価値観を高めるためにvProテクノロジを提供。管理機能によりTCO削減を助けるとした。