カドケシなどで有名な神原秀夫氏が手がける「PLY」が、9月17日に発売となった。同機種はKDDIの新ブランド「iida」の第2弾ラインナップにあたり、5つの層をなした外観やタブキーなどが特徴。内蔵コンテンツなども、神原氏がコーディネートしている。では、この端末の魅力はどこにあるのか。デザインや使い勝手、機能などを検証し、PLYの真髄に迫った。
ペーパークラフトのコンセプトを見事に再現したデザイン
この機種のデザインは、KDDI DESIGNING STUDIOなどで開催された「PLY-ケータイの層-」展が下敷きになっている。この展示会ではPLYの原型となるケータイのペーパークラフトが展示さていたが、製品版を見る限り、コンセプトの根本的な部分は変わっていないことが分かる。マルチメディア機能が凝縮された無線機器であるがゆえに、さまざまな制約を受けるケータイで、ここまで原点を貫いたデザインは珍しい。層が6から5に減っていたり、キー部分が通常のスライドになったりと、細かな変更点はあるものの、美しくインパクトのある外観はそのまま。特徴的なタブも、しっかり製品版に受け継がれている。
また、側面の層は1段1段が均等で、横から見ると、どこがスライドするか分からないほどだ。側面には充電ジャックのカバーがあるものの、タブの横に配置されているのであまり違和感はない。塗装も工夫されており、色味もほかのパーツとほとんど同じだ。
筆者が初めて端末を触ったときは、どこに充電器を挿せばいいのか迷ってしまった。それだけ、外観の完成度は高い。背面にもこの思想は受け継がれており、電池パックの"ツメ"がなくフラットな仕上がりとなっている。カメラやスピーカー部分も平らで、デザインの痕跡が見え隠れする。
ただ、卓上ホルダで充電するための接点は、あまり美しいものではない。ここまでフラットな形状にしたのなら、あえて充電はジャックからのみにするなどして、金属パーツは見せないでほしかった。また、液晶側筐体の背面にはスライド用のレールが見えている。最近のソニー・エリクソン端末などでは、極力この部分を隠すようにしている。メーカーが違うとはいえ、PLYにもそのような処理がふさわしかったのではないか。普通の端末ではあまり気にならないかもしれないが、全体のデザインが優れているだけに、外観ではこの2点が少々気になった。