――画質の良さをベースに、今回新たな機能として搭載されたのが新しいオートフォーカス「さがしてフォーカス」ですね。
今村「さがしてフォーカスというと『なんだマルチAFのことか』とお思いかもしれませんが、さがしてフォーカスは画像を解析して被写体を見つける技術で、マルチAFとは異なります。人物の顔以外の被写体にカメラを向けると自動的にオートフォーカスの枠が出てきますが、被写体により枠の大きさや数も変わっていきます」
――なぜ、さがしてフォーカスを開発されたのですか。
今村「スポットAFの場合、画面の中央にない被写体にフォーカスを合わせるために、フォーカスロックという機能を使わなければなりませんでした。ピントを合わせたい場所を真ん中に持ってきて、シャッターを半押ししてから横にずらすテクニックです。しかしフォーカスロックをあまりご存じない方もいらっしゃいます。そのため被写体にピントが合わなくて失敗してしまいます。こうした失敗をまず防ごう、と考えました。
そこで登場したのがマルチAFです。画面の中に9ポイントのAFサンプル点が並べられていて、そのどこかでピントを合わせる仕組みになっています。ところが結果どうなるかと言いますと実は一番近いところにピントが合うだけなんです。たとえば被写体の手前に葉っぱがかぶっていたりすると、被写体にピントが合わなくなってしまいます。こうした欠点を払拭するために、『顔認識』という技術が生まれ、人物にはピントが合うようになりました。ただ、人以外の被写体では相変わらず欠点はそのままだったのです。
最近はタッチパネルがカメラに搭載され、ピントを合わせたい場所にタッチして撮影できるようになりました。たしかに分かりやすいのですが、指でタッチしたとき、カメラが動いてしまったり、液晶に指紋がつく煩わしさもあります。シャッターは静かに押すものというカメラの基本部分を崩してよいのか、という疑問もありました。
結局、人以外のものにも簡単にきちんとピントが合うようにするには、ピントを合わせなければならない位置をカメラが自分で探し出してくれるのが一番便利なんです。そこで開発されたのが、さがしてフォーカスという機能です」
――タッチするときには両手が塞がるので、勝手に探してくれたほうが使いやすいですね。
今村「さがしてフォーカスでは、全体のレイアウトを考えてどこにフォーカスをあてるのか考えてくれます。さらにさがしてフォーカス起動時でも、顔認識が優先されるようになっています。たとえば、ペットと人物がいた場合、人物の顔にフォーカスされます。
ちなみにさがしてフォーカスの場合、被写体が何であるのかを認識している訳ではありません。画像を解析して、構図の中の特徴的なものを探し出しフォーカスを合わせています。長年カメラを開発してきて蓄積された膨大な量の画像の中から、人がどこに着目するのかを数値演算に変換して動作するアルゴリズムが搭載されています。
従来機から搭載されている『押すだけ夜景』や『押すだけ逆光』、『風景メイクアップ』『人物メイクアップ』『CCDシフト方式手ブレ補正』『スマイル検出オートシャッター』などと併せて、"国内No.1"を目指すモデルには誰でも失敗なく、キレイな写真が簡単に撮れるための機能の追求、進化は欠かせないと考えています」
――動画合成機能「ダイナミックフォト」もさらに進化したそうですが。
今村「合成する動く被写体を1回の撮影で切り抜けるように改良し、従来の2度撮りの手間を解消しました。ただ1回撮りは"背景が平面で単一色"という条件がありますので、もちろん壁がないような環境で切り抜くために2回撮りも用意しています。
また合成するときの動くキャラクターの拡大縮小ですが、EX-Z450からは画角の100%まで拡大できるようになりました。EX-H10では2/3×2/3まででしたが、100%まで拡大できるようになったことで、たとえば飾り枠のようなキャラクターを切り抜いて背景写真に合成できようになります。
さらにダイナミックフォトをより楽しんでいただくために、さまざまなキャラクターを収録したCD-ROMも付属しています。EX-Z450では画質と併せて、創る楽しみの部分でも新鮮な驚きを提供していきたいと思っています」