IMKit関連の疑問が氷解したところで、次なる疑問に挑戦してみよう。それは「漢字の手書き入力」。6月のWWDCにおけるSnow Leopardのデモでは、中国語以外の言語に関してコメントされなかったため、ひょっとして日本語もイケるのでは、と期待した向きも多いはず。だが残念ながら、漢字の手書き入力は繁体字/簡体字のみで、日本語の文章をつづる目的には利用できない。

とはいえ漢字だけなら入力できるはず……というわけで、システム環境設定の「言語とテキスト」ペインで「入力ソース」タブを開き、日本で用いられる漢字に近い「Chinese - Traditional」(繁体字)をチェック、「トラックパッド手書き認識」を有効化した。

簡体字と繁体字の入力プログラムのみ「トラックパッド手書き認識」が表示される

[control]+[SHIFT]+[SPACE]キーで入力モードをトグルすると、画面中央に手書き認識エリアが現れる。この状態になると、入力エリア外にカーソルを移動できなくなり(外付けのマウスも反応しない)、他の入力モードにトグルするまでエリア内で作業することになる。認識される文字は漢字(繁体字)のみで、ひらがな/カタカナは無視されるが、読みのわからない漢字を入力する用途には十分活用できる。

「トラックパッド手書き認識」を有効にすると、このようなダイアログが現れて注意をうながす

漢字の入力は、トラックパッドの中央付近を指先でなぞることで行う。画数が増えるたび認識エリア右端の候補が更新されるので、目的の漢字が現れたときにトラックパッド上の同じ位置をタップすればOK。入力した内容をクリアするときには右上をタップ、スペースを入力するときは「空格」と同じ位置をタップする。つまり、画面上に表示されている手書き認識エリアは、マルチタッチトラックパッドのメタファーだ。

認識精度だが、概ね良好と感じた。トラックパッド上に指先の軌跡は残らないため、油断すると崩れまくった漢字を書くハメになるが、次第に慣れるはず。画面上の手書き認識エリアには、指先というかペン先が表示されるので、手元を見ずに画面だけを見ながら字を書いたほうがいいだろう。それにしても、これだけの認識精度があれば、ひらがなとカタカナにも対応できると思うのだが……。

ここでは「鶴」と書いてみたが、実際には読みのわからない漢字を入力するときに役立ちそうだ