PCリモーターソフトの起動画面。回線速度に合わせ、サーバPCとは2種類の接続方式が用意されている

PCリモーターとしての使い勝手は、PCリモーター専用の「Lui RN」や「Lui RP」とほぼ同じ。PCリモーターソフトを起動し、サーバPCと接続するだけ(PCリモーターソフトとサーバPCの接続設定は初回に必要)。インターネット環境さえあれば、どこからでもサーバPCのデスクトップにアクセスし、自由に操作できる。

動画の再生や写真の編集など高度な処理にも対応できる高速な回線向きの「リモートスクリーン」と、動画の再生は難しいがオフィスソフトなどテキスト中心の編集なら十分対応でき、低速な回線でも利用可能なのが魅力の「リモートデスクトップ」と2種類の遠隔操作を用意しているのも従来と同じだ。

サーバPCを遠隔操作できる最大の魅力は、2つの作業を並行可能なことだろう。ネットブックでは、性能の低さからハイビジョン映像の再生や動画の編集といった負荷の大きい処理は苦手としているが、高い性能を持つサーバPCならば、その弱点を克服できる。

実際にテストしたところ、本機側で再生するとコマ送りになってしまうYouTubeのハイビジョン画質の動画も、PCリモーターソフトを使ってサーバPC側で再生して視聴した場合はコマ落ちを感じなかった(IEEE802.11gの無線LAN環境からインターネットを経由してサーバPCを遠隔操作した場合)。

そして、PCリモーターソフトはウィンドウモードでも利用できるため、サーバPC側でハイビジョン動画を再生しながら、本機型で文書作成をしたり、ウェブサイトを閲覧といった作業が同時に行える。なお、PCリモーターソフトの使用中でもCPU使用率は20~35%程度であった。

ウィンドウモードでサーバPCを操作できるので、サーバPCでエンコードなど負荷の大きい作業を実行させて、本機側で文書作成など、2つの作業を平行できるのが強み

各携帯キャリアの通信カードが使えたり、多くの駅やカフェで無線LANスポットがあるといっても、地下鉄や新幹線での移動中に安定したインターネット通信を望むのはかなり難しい。そのため、PCリモーターでは移動中の時間を有効に使えなかった。だが本機では、長時間のバッテリ駆動を活かしてメールの下書きをしたり、文書作成をしたりと便利に使える。PCリモーターの汎用性不足によって、Luiの導入を見送っていた人にはこれで購入しない理由がなくなるはずだ。

また、本機ではイー・モバイルやNTTドコモの通信カードのほか、モバイルWiMAXサービスを提供しているUQコミュニケーションズの通信カード(UD01NA/UD01SS/UD03SS)による遠隔操作の動作確認が行われているのも隠れた魅力である。

■仕様
CPU Intel Atom N280(1.66GHz)
チップセット Mobile Intel 945GSE Express
メモリ 1GB
HDD 160GB
光学ドライブ なし
グラフィックス チップセット内蔵
ディスプレイ 10.1型ワイド(1,024×600ドット)
オーディオ High Definition Audio
ネットワーク IEEE802.11b/g/n無線LAN、10/100BASE-TX有線LAN
インタフェース USB2.0×3、D-Sub15ピン、SDメモリーカードスロット、Bluetooth、131万画素Webカメラほか
サイズ/重量 W258×D183.5×H27.5~29.8mm/約1.14kg
OS Windows XP Home Edition
バッテリ駆動時間 約8.5時間
実売価格 54,800円