Moblinセミナー、2つ目の基調講演は、インテル ソフトウェア&サービス統括部 部長の池井満氏が行った。タイトルは、「MoblinのCore技術構成と次世代プラットフォームについて」である。
池井氏は、まず1999、2005、2009年のWebサイトアクセスランキングを提示し、新興サイトがランクに多く含まれることを指摘、これから、今後インターネットでどのようなことが起こるのかは予測が困難だとした。そして、携帯電話ユーザーがモバイルインターネットに対して感じている不満点に関する調査を提示。今後の携帯端末には、以下4つの必要条件があるとした。
低消費電力で高性能
インターネット最新技術を利用可能
ソフトウェアの互換性
ワイヤレスによる常時接続
そして、このために企画されたのが「MID」(Mobile Internet Device)、「モバイル・インターネット端末」だという。このためのプロセッサがIntel Atomプロセッサである。Atomは、Intel Core2 Duoと同等の命令セットを持ち、低消費電力のプロセッサだ。
インテルの調査によれば、SPECint_rate2000ベンチマークで、1.2GHzのAtomプロセッサはARM系プロセッサ(Cortex A-B 600MHz)の4.4倍、2GHzのAtomプロセッサは高速といわれるQualcommのSnapdragon(1GHz)の4倍の性能があるという。ただしこのベンチマークは、擬似2コアのAtomプロセッサが有利なものになっている。シングルプロセッサ相当で比較すれば2倍程度となり、ほぼクロック差に近い値となる。
このAtomプロセッサは、現在のMenlowプラットフォーム(CPU+チップセット)に対して、今年末には次世代のMoorestownが登場予定で、さらに来年末にはプロセスを32nmとしたMedfieldプラットフォームが登場する予定。
インテルは、次世代のMoorestownで高性能スマートフォンを狙う。Medfieldではさらに小型化が進むため、もう少し小型のスマートフォンをターゲットに追加する。Moorestwonでは、CPUパッケージにGPUやメモリコントローラを取り込み、より細かく電力制御を行う。このためスタンバイ状態や音楽、ビデオ再生では、現在のMenlowよりも大きく消費電力を下げることが可能になるという。常時接続という問題に対しては、Erricssonとの協業によりMoblin向けに3Gソリューションを提供、またWiMAX、WiFiとGPS、Bluetoothを統合した通信モジュールも提供する予定だ。
これらプラットフォームに対して提供されるOSがMoblinで、インテルは当初Linuxベースのシステムを考えたときに、現在のデスクトップ用のLinuxは経験のあるユーザー向けであり、タッチスクリーンや横長のディスプレイに対応できないという問題を発見した。また、PC向けのコンフィギュレーションでは、MIDなどのモバイルデバイスには過大すぎ、電力管理などもそれほど考慮されていないことがわかった。このために作られたのがMoblinだという。