ニコン「D3000」は、同社の現行のラインアップでもっとも価格が安いデジタル一眼レフ機だ。一眼レフ機としての基本機能に絞り、ボタンやダイヤルの数を最小限に抑えることで、ビギナーでも取っ付きやすいシンプル操作と低価格を実現した。ボディの推定市場価格は5万5,000円前後。現在の市場価格はマイコミジャーナル価格情報をご覧いただきたい。
静かで心地よい操作フィーリング
ニコン製デジタル一眼レフのローエンド製品といえば、2006年に発売した「D40」が、当時でも高画素とはいえない610万画素CCDをあえて採用し、機能を必要最小限に限定することで低価格を実現。ビギナーだけでなく、中級者以上のサブ機としても好評を得た。その後「D40x」「D60」へと進化し、その流れを汲んだ製品が今回のD3000である。
まずD3000の基本仕様を確認しよう。撮像素子はAPS-Cサイズの有効1020万画素CCDで、最高感度はISO3200、AF測距点は11点、連写は秒間3コマに対応。ファインダーには視野率95%のペンタミラーを、液晶には3型約23万ドットのTFTを、記録メディアにはSD/SDHCカードをそれぞれ採用する。
これまでの基本デザインとボタン配置を受け継ぎ、外観や操作性に大幅な改良はない。上部のモードダイヤルは大型化した |
電源はリチウムイオン充電池で、CIPA準拠の電池寿命は約550コマとなる。記録メディアはSD/SDHCカードに対応する |
今どきのエントリー機として、ごく標準的なスペックだ。ただし最近のトレンド機能といえる、ライブビューや動画モードは搭載していない。カメラとしての基本機能だけに限定し、価格を抑えたという点では、ソニー「α230」やペンタックス「K-m」あたりがライバルといえるだろう。
ボディのデザインは、D40/D40x/D60に比べると全体に丸みが増し、ひとつ上のクラスの「D5000」に似ている。だが、D5000のようなバリアングル液晶ではなく、そのぶんボディサイズは小さく、重量は軽い。他社比で圧倒的にコンパクトとはいえないが、現行の同社製品中では最小最軽量だ。外装は、表面にわずかにざらつきを加えたフルブラックの樹脂製。特に高品位とはいえないが、かといってチープな印象もない。
各種のボタンやダイヤルの配置はD40/D40x/D60をほぼ継承し、エントリー機らしく、その数を最小限にすることで、一眼レフ機のビギナーに難しさを与えないように配慮されている。大きなモードダイヤルは回しやすく、ボタン類も大きめで押しやすい。
大柄のグリップを備え、ホールドバランスは良好。キットに付属の標準ズームは、他社のキットレンズに比べてサイズが大きめ。なお、ボディ内にAFモーターはない |
同社のエントリー機では初めて3型の大画面液晶を採用。絞りのイメージがアイコンで表示される情報画面のほか、通常の文字による表示にも変更可能 |
実際に撮影した印象は、これまでの製品でも感じたことだが、レリーズ時の作動音と振動が一眼レフ機としては比較的小さいことが心地いい。ファインダーの見え方は入門機として十分なレベルで、従来より大型化した3型液晶の視認性も悪くない。AFは、レンズキットに付属の標準ズーム「AF-S DX NIKKOR 18-55mm F3.5-5.6G VR」の場合、あまり高速とはいえないが、多少薄暗いシーンでもしっかり合焦する。
AFの測距点は、D40/D40x/D60ではわずか3点しかなかったが、D3000では11点に増えている。背面マルチセレクターのダイレクト操作で11点の切り替えができるほか、自動で11点が選ばれるオートエリアAFや、被写体を自動追尾する3-Dトラッキングを使用できる。……つづきを読む