次世代に向けたネットワーク技術を研究

AT&Tの研究開発部隊であるAT&T Labsは、通信ネットワークが米国内から光ファイバケーブルを通して全世界へと広がり、そのネットワークを利用して音声だけではなくデータやビデオ、画像といったマルチメディアな情報が載るようになったことで、次の時代に向けたネットワーク技術を研究している。

AT&T Labsの出発母体は、トランジスタを発明したベル電話研究所だ。半導体をはじめとするハードウェアは、分社化したAlcatel-LucentのBell Labsが引き継ぎ、ネットワークインフラに関係する研究をAT&T Labsが手掛ける。研究所の玄関には情報伝送理論で有名な「シャノンの情報理論」を提案したクロード・シャノンの胸像がある。

AT&T Labsの入り口にあるシャノンの胸像

AT&T研究所は、世界中のVPNも含め全世界のネットワークの85%もカバーしているAT&Tのネットワークを利用するサービスやソフトウェア、さらにネットワークの容量増加などの研究に取り組んでいる。具体的には、ネットワーク自身のインテリジェント化の研究があり、IPと音声によるサービスの研究、さらには情報・ソフトウェア・システムの研究がある。「AT&Tは一定の品質とサービスを提供し、AT&T Labsはそのネットワークの品質を保つために世界中同じ技術を使ってシステムを設計する」とAT&T Labsの社長兼CEOのKeith Cambron氏は、テレビ会議「TelePresence」でのインタビューで語った。

実物大で臨場感あふれるテレビ会議システム「TelePresence」

ネットワークインフラのコアとなるバックボーンは現在80波長で40Gbpsのバンド幅の光ファイバネットワークを2009年中に100Gbpsへ広げる計画だ。また最先端の実験では、2009年3月に320波長で100Gbps、すなわち合計32Tbpsという超高速のデモを行った、とCambron氏は言う。この実験ではNECとCorningがパートナーとなった。ここまでバンド幅を広げる理由は、ネットワークを流れるデータトラフィックが毎年60%の割合で増えているからだという。AT&Tは米国内だけではなくグローバルなネットワークも築いており、世界各国のサービスをしているため増加するトラフィック量に対応しなければならない。