食べ放題や大盛りアイテムなど、客層にあったメニューを開発
一般的に、チェーン系レストランではセントラルキッチン等で調理された食材を各店に配送することが多い。調理の手間は少なくなるが食材の使用用途が限定され、既存メニュー以外は作れないし、各店の自由度が低く、オリジナルメニューをつくること自体が許可されていないことも多い。
一方、王将の場合は前述のように肉や野菜などの材料が生の状態で店舗に届くため、様々なオリジナルメニューをつくることが可能で、実際にそれが許されている。そういった点を"強み"とし、王将では各店長の裁量に任せた独自メニューを提供している。「関東と関西という地域による嗜好の違いの他に、立地によっても客層の違いでニーズが違う。それを感じ取り、形にするのは現場の店長。メニューやサービス、イベントそれぞれにおいて自店の個性を出す事で店舗が活性化される」(同社広報)。
本部の指導が大変になるからと嫌がるチェーンが多いなか、王将はかなり異色。例えば、ファミリー客が多い宝塚インター店(兵庫県宝塚市)では、通常の焼飯の4.5倍もある「ギガントチャーハン」(861円)などのボリューム満点メニューを提供している。また、学生客が多い国分駅前店(大阪府柏原市)では、特大の激辛ラーメンを制限時間内に完食すると無料になるなどのチャレンジメニューを月替りで提供し、固定客の獲得に努めている。
さらに、女子大生客が多い須磨店(神戸市須磨区)は、女子大生限定で食べ放題メニューを提供している。「餃子」や「エビのチリソース」、「鶏の唐揚げ」など約20種類のメニューは食べ放題で、ドリンクやデザートもついて1人1,200円という格安設定だ(制限時間90分・14時~21時の時間帯で実施)。
個人店の柔軟さとスケールメリットを強みに
各店の客層をしっかりと反映させたこれらのメニューや企画は、個人経営の飲食店かと思うほどの柔軟さである。また、店舗設計にしても、ロードサイド、駅前、商店街など、立地によって店舗の形状は様々。1店舗として同じ店舗はないという。個人店のよさと、チェーン店としての王将のネームバリューや組織力、大量一括仕入れによるコストダウンなどが組合わさることで、低価格とおいしさ、楽しさが生みだされているのだろう。
今後の計画をお聞きすると、「長期的には1,000店舗を目標に、マイペースで地道に出店していく。王将は人の成長があって初めて成り立つ会社。人を育てながら、膨張ではなく、成長を目指していきたい」(広報担当)とのこと。
これからもますます、庶民の味方としてがんばってください!