「餃子の王将」(経営: 王将フードサービス・本社: 京都府京都市)をご存知だろうか。「豚肉1日12t、卵1日20万個、餃子1日100万個」(全店舗で使用する食材量)と謳うテレビCMが印象的な外食チェーンだ。この「餃子の王将」が、不況、不況といわれる中、好調な売り上げ記録を叩き出し注目を集めている。ここでは、その人気の秘密に迫る。

売上高は73カ月連続で前年同月比100%超を達成

1967年創業「餃子の王将」。写真は今年3月にオープンした東京都武蔵野市にある武蔵境駅前店

まずは「餃子の王将」(以下、王将)の好調さを指し示すデータを見てもらいたい。2009年4月~6月期における売上高は約155億円、前年同期比22.8%増。直営全店ベースでは2003年7月より74カ月連続、既存店ベースでも2007年8月より25カ月連続して売上高対前年同月比100%超を達成している(2009年8月31日現在、全国で533店舗を展開)。一過性のものではない、息の長い好調ぶりが目を引く。

王将の創業は1967年12月。京都・四条大宮に第1号店をオープンした。全国で500店以上の多店舗化を図っているにもかかわらず、王将では店舗での手づくりにこだわる。もちろんセントラルキッチンも有してはいるが、ここでは主に餃子の餡と皮を製造するのみ。

各店舗では調理済みの食品はほとんど使わない。野菜や肉類などの食材を各店に配送し、店舗で用途に合わせた形状にカットして使用する。料理はオーダーが入ってから調理する。この手づくり感が、「ちゃんと料理人がつくっている店なんだ」という安心感を生んでいる。

素材にこだわりつつ低価格の人気メニュー

王将の人気メニューといえば、まずはなんといっても「餃子」である。全店でなんと1日130万個も売れるというから驚きである。それでいて231円(東日本価格・西日本は210円)という低価格を保っているとは、まさに庶民の味方である。

国産フレッシュポークを使ったダントツの人気メニュー「餃子」(東日本231円・西日本210円)

餡は国産フレッシュポーク、キャベツ、ニラなどを主原料とし、皮には最高級の小麦粉を使用。1日に販売する分だけを、京都、千葉、福岡にある工場で毎日製造して店舗へ配送し、店舗で1つひとつ包み、特製の鉄板で焼き上げてアツアツの餃子を提供しているという。

王将には、その他にも多くの人気メニューがある。人気No.2は「焼飯」(東日本420円・西日本は367円)。玉子とチャーシュー、ネギといった具材を使い、パラリと仕上がった王道の一品。「鶏の唐揚げ」(東日本525円・西日本504円)も、国産フレッシュチキンに特製タレを揉み込んだ自信の逸品だ。揚げたてのジューシーなおいしさが人気の秘密である。「ニラレバ炒め」(東日本・西日本472円)は、特に関東で人気というスタミナメニューだ。

「焼飯」(東日本420円・西日本は367円)

「鶏の唐揚げ」(東日本525円・西日本504円)

「ニラレバ炒め」(東日本・西日本472円)

どれも毎日でも食べたくなるような手頃な価格設定。それでいてフレッシュ食材を使うなど食材にもこだわり、料理人による出来立ての味が楽しめる。店舗はオープンキッチン形式で、調理しているシーンをお客さんに見せるようにしているのも、王将の特徴。調理シーンが見えることで安心できるし、ジューッという素材を炒めたり焼いたりする音が響くことで、店内全体に活気があふれる。

調理のライブ感が楽しめるオープンキッチンを採用。目の前で料理人が腕を振るう様子を見ることができる