それから8年もの沈黙を経た2009年秋、「マン・シリーズ」の注目ライン、フロッグマンの新星・GWF-1000がようやくお目見えすることに。
その魅力や革新性について、中野さんは、「世界6局対応のデジタル電波ダイバーズウォッチ」である点をまず挙げる。この特質事項は、全世界における業界初の仕様となる。カシオがまたひとつ、世界に先駆けて偉業を成し遂げたのである。
「1993年にDW-6300が出ましたが、G-SHOCKブームはその翌年くらいから始まっています。まさにG-SHOCKが右肩上がりで登りゆく課程で登場したのがフロッグマンです。それだけに大きな注目を集め、カラーの異なるバリエーションも豊富に投入されました。今でこそケース径の大きい時計が主流ですが、当時、ケース径50mmを超すフロッグマンの大きさはインパクト絶大でしたね」と中野さんは振り返る。アナログ式の超高級時計の分野でも、ケースサイズが大きくて厚みのあるビッグフェイスの時計がトレンドとなり、現在に至るわけだが、フロッグマンはその先駆けともいえるのである。
そして2001年に4作目が出てから今回紹介する最新作のリリースまでに、8年もの歳月が経過した点については、カシオが業界の先陣を切ってハイテク技術を完成させるスピードは速いが、それらを基本デザイン内に搭載するために時間がかかったことも一端だろう。後述するが、バンドのバックルの仕上げなど、ディテールまでも大幅に進化させているのだ。
初代モデル(左)と最新作GWF-1000。最新作は、10本まで記録可能な「ログデータメモリー」「タイドグラフ」「ムーンデータ」など、より多機能モデルへと進化し、デザイン面では時代の要求に応えるかたちで重厚感が増している |
「フロッグマンの電波ソーラー化を望む声は、日増しに高まっていました。しかし電波化するには、当然、電波を受信するために消費電力が増大するわけです。ISOに準拠した200m防水ケースで、いかに安定して世界6局の電波を受信させるかなど、課題は山積みでした」という。試行錯誤の結果、頑丈なケースを維持しつつ、電波ソーラー化に成功。従来モデルより踏襲される「ログデータメモリー」機能を10本までメモリー可能とするなど、実用性を高めるために機能も強化された。
見えない場所でも"タフ"にこだわる
さらに中野さんによると、使用するメタル素材自体を屈強な鍛造仕上げとし、プッシュボタンを大きくするなどダイバーズウォッチとしての操作性を向上させているという。さらにベゼル上部に配置したフロントビスはSS(ステンレススティール)、ダイヤル・ディスプレイの縁取りには削り出しによる高輝度アルミニウムを採用。ケースや裏蓋などには耐摩耗性にすぐれるDLC(ダイヤモンド・ライク・カーボン)処理を、裏蓋にはさらにミラー加工が施されている。このため実用機としての重厚なデザインと高品質感を共存させることに成功している。
フィールドで操作しやすいよう、初代モデルと比べ最新作(右)のプッシュボタンはより大型化している |
バンドのバックル部は、脱落を防ぐため2代目より2穴式に進化。5代目では、バンドをビスで留めるなどより頑丈に |
また、裏蓋には、日本・北米・欧州・中国で使用できる電波時計機能「マルチバンド6」ほか高い先端機能を象徴するかのように、歴代モデルから進化を遂げた「ロボガエル」のイラストが刻印されている。このイラストはもちろん、ダイバーズウォッチという機能、フロッグマンというネーミングに由来するものだ。
本作にはレギュラーモデルのほかに、SS製のフロントビス、ダイヤルのメタルパーツなどに上品で温かみのあるローズゴールド・カラーを採用し、スペシャルパッケージに納められる「GWF-1000B」も用意される。重厚でシックなGWF-1000、やや赤みがかったゴールドがアクセントとして引き立つ華やかなGWF-1000Bの2モデルから選ぶことができる。
G-SHOCKの基本コンセプトとして、最新モデルもご覧のように落下した場合、衝撃を吸収して本体を守る構造になっている ※GWF-1000B |
万が一、ケース面から地面に落下してしまった場合は、張り出したベゼル部分が衝撃を吸収して風防を守る ※GWF-1000B |
2穴式のバックルは、ストッパー部分が2連になっており操作性にもすぐれている。GWF-1000Bではバックル部分もDLC処理をほどこした |
初代から連綿と続くデザイン性を継承、これに最先端機能を盛り込んだ新型フロッグマン。重厚かつ精密感溢れる実物をぜひ、店頭で手に取ってみてほしいものだ。
FROGMANがマウント・ラシュモアに
G-SHOCKコンセプトショップなどでは、最新フロッグマン・GWF-1000をはじめ、ガルフマン、マッドマン、ライズマンといった「我が道を行く」モデルが、マウント・ラシュモア風の店頭ディスプレイとなって登場予定。"オンリーワン"モデルとしての力強さ、存在感をアピールする