続いて登場したのが「揚げワンタン」だ。具材はエビと豚肉ミンチで、スイートチリソースに付けて食べる。やさしい味わいのホワイトローズとは対照的に、パンチが効いている。ベトナムビール「333(バーバーバー)」や「タイガー」が進む味だ。その後にには、ややスパイシーに味付けされたエビやイカのグリルが登場する。

パリッとした食感の揚げワンタン。具は少なめでとても香ばしい。後ろに見えるのがベトナムビール「333」

スパイシーなソースで味付けされたエビとイカのグリル。香菜の風味がマッチ

伊勢うどんがルーツの麺料理

そして「カオ・ラウ」。スープたっぷりではなく、まるで汁なし担々麺のよう。麺は米粉麺だ。日本の伊勢うどんがルーツだといわれており、汁が絡みやすいように少しざらっとした歯ざわりも伊勢うどんに似ている。味付けは濃い目。チャーシューと、厚めの春巻きの皮を揚げたようなものがのっていて、かきまぜて食べる。

ホイアン在住の日本人が伝えたといわれている「カオ・ラウ」。伊勢うどんがルーツとか。他のものに比べると少し単調な味だが、ライムをしぼると爽やかな風味になる

コースはそのほか、シャキシャキとした食感が楽しい空芯菜の炒め物、鶏肉のレモングラス炒めと続いた。デザートはバナナのフリット、自然な甘みが絶品だった。コースの価格は、これだけ食べて1人1,000円ほど。それでもベトナムでは高級な方だ。コースはかなりのボリュームなので、アラカルトで注文するのもオススメ。どれも日本人の口によく合う。

中華風の味付けの空芯菜の炒め物と、濃厚な味わいの鶏肉のレモングラス炒め。日本のベトナム料理店の定番である生春巻きは意外にもベトナムではあまり食べられていないそうだ

デザートはバナナのフリット。衣はほんのりと甘く、さらに甘いココナツミルクを付けて食べる。カロリーは高いが味は絶品

また、この店ではないが、こうした料理店のメニューにあったらぜひ注文してもらいたいのが、珍しい燕の巣のドリンク。しっかりとした甘みととろみのある仕上がりで、スパイシーな料理の刺激をやわらげてくれる。

めずらしい燕の巣ドリンク。缶には、燕の巣をとっている人のイラストが描かれている。レストランでは1缶90円ほど

店内を通り抜けるぬるい風に吹かれて、食事をしていると、ゆっくりとしたベトナム時間が流れていくのを感じる。かつて多くの日本人暮らしたこの街で、ぜひ三大名物料理を堪能してほしい。