DirectX11世代のRADEONを公開

この流れで、AMDは「自社がWindows 7におけるDirectX 11グラフィックス・ソフトウェア・スタックの最初の認証を受けたこと」などを強調し、AMDが世界で唯一DirectX 11対応GPUのリリースの準備が完了していることを強調していた。

これだけならばただのセールストークなのだが、実際に、AMDはここで、未発表のDirectX 11世代Radeonの実機デモを行った。

用いられたのはDirectX 11 SDKに含まれる2つのサンプルプログラム。

1つは「スクリーン・スペース・アンビエント・オクルージョン」(SSAO)のデモであった。

SSAOは画面座標系のポストプロセス(画像処理)で大局照明ライクな柔らかい"陰"を付加するテクニックだが、このデモでは、この処理をピクセルシェーターでやるか、DirectX 11の新フィーチャーであるDirectX Compute Shaderで行うかを比較できるようになっている。SSAOでは、着目しているピクセル位置を基点に、対応する周辺の深度バッファに局所的にヘビーな探査を仕掛ける処理が介在する。このDirectX 11 SDKのSSAOデモではそうしたSSAOの高負荷な処理をDirectX Compute Shaderで肩代わりすることでパフォーマンスがどう変わるかを見せられるようになっている。

SSAO(HDAO)のデモ

土居氏は、ピクセルシェーダーで動作させたときには60fps前後だったものが、DirectX Compute Shaderで実行したときには2倍近い110fps前後になることをアピール。このアクセラレーション効果は今回の実機デモが確かにネイティブなDirectX 11対応GPUで動作していることを証明して見せた。

DirectX Compute Shaderを利用したことでフレームレートが約2倍近くに向上

続いて、画面に出されたのはDirectX 11 SDKのテッセレーションのデモだ。

土居氏は法線マップベースの「バンプマッピング」、凹凸の前後関係までが正確に描写されるバンプマッピングの究極形「視差遮蔽マッピング」、そして始点からの距離などに着目してポリゴンを分割(テッセレーション)し、これに凹凸(ハイト)マップを適用してジオメトリレベルの凹凸を実際に生成する「ディスプレースメントマッピング」を順番に見せた。特に、最後のディスプレースメントマッピングにおいては、テッセレーションレベルのスライダーを動かして、リアルタイムにポリゴンの分割レベルが変化する様をアピール。こちらも確かにDirectX 11世代のGPUが実動していることが強調された。

法線マップによるバンプマッピング。平面ジオメトリにて行う微細凹凸表現の基本形。かすめ見ると平坦に凹凸の陰影処理を適用していることが露呈する

視差遮蔽マッピング。平面ジオメトリにて行う微細凹凸表現の究極形。かすめ見ても凹凸の前後関係が性格に表現されるが、ポリゴン面に対してフェイクで彫り込んでいるだけなのでポリゴンエッジ付近はどうしても平坦さが露呈してしまう

ディスプレースメントマッピング。実際に頂点レベルの凹凸が視点からの距離に応じたジオメトリ解像度で生成されるので、ポリゴンエッジ付近でもちゃんと凹凸が見えている

スライダーを動かしてテッセレーションレベルを変化させたところ