現在、東京・日本橋三越本店にて、国内最大級のウォッチフェアである「第12回 ワールドウォッチフェア」が開催されている。同フェアには、5大時計ブランドと呼ばれるブレゲ、パテック・フィリップ、オーデマ・ピゲ、A.ランゲ&ゾーネ、ヴァシュロン・コンスタンタンをはじめ、50ものウォッチブランドが出展。今春のバーゼルワールドやジュネーブサロンで発表されたモデルや、各ブランドの技術を象徴する高度な機構を搭載した時計など、普段中々目にすることのできない時計を間近に見ることができる。ここでは、特に目を惹いたものを紹介する。

時計界のダ・ヴィンチが魅せる、高度な時計技術

同フェアでは、職人技術が詰まった数多くの複雑な機械式時計が展示されていた。そういった時計は「機械」としての美しさが感じられ、時計好きだけでなく機械が好きな人にとっても見ごたえのあるのではないだろうか。

「時計界のレオナルド・ダ・ヴィンチ」と賞されているブレゲは、同ブランドの創始者であるアブラアン・ルイ・ブレゲが発明した重力の影響を均一化することで時計の姿勢差を補正するための機構であるトゥールビヨン(脱進器)を2つ備えた「クラシック ダブルトゥールビヨン」(4,588万5,000円)を特別出品。

「クラシック ダブルトゥールビヨン」(左側:表、右側:裏)

同製品は、2つのトゥールビヨンを繋ぐブリッジの一端が時針となっており、文字盤とともに回転する仕組みとなっている。「2つのトゥールビヨンに加えて文字盤も回転させるには、通常の時計よりも強いトルクが必要となり、高度な技術が必要とされます」(同社)。

分針はブリッジの中心から伸ばされ、ケース径は44mmで素材はプラチナ。ダイヤルは銀色仕上げの18Kゴールドで、手彫りギヨシェ模様が施されている。また、ケースバックには太陽系を象徴したエングレービングが施されており、機械の小宇宙ともいえる時計に対する同社の哲学が窺えるデザインとなっている。日常生活防水仕様で、パワーリザーブは50時間。国内における展示は、今回が初めてとなる。

3次元的な姿勢差補正を実現した球体トゥールビヨン

ジャガー・ルクルトの3次元的に回転する球体トゥールビヨンを搭載した「レベルソ・ジャイロトゥールビヨン2」も興味深い。搭載されている球体トゥールビヨンは、60秒で1回転する外側ケージと、18.75秒で1回転する内側ケージを有しており、各ケージはそれぞれ異なる回転軸を持っている。これら2つのケージが高速回転することにより、3次元的な姿勢差の補正を実現しているという。同機構は14Kゴールド製の可変慣性テンプを含む100個の部品で構成されており、重量は0.34g。

「レベルソ・ジャイロトゥールビヨン2」

同時計のケースはプラチナ製で、同ブランド「レベルソ」シリーズの特徴を受け継いだ反転式(ダイヤルが可動式で、ひっくり返すことができる)となっている。表ダイヤルには、時、分、秒表示と24時間表示、裏ダイヤルにはパワーリザーブ計が搭載されている。ケースサイズは36.0mm×55.0mm×厚さ15.8mm。価格は40万ドル(約3,720万円)。

レベルソシリーズの反転式ダイヤル

同社ブースではそのほか、世界最小とされるムーブメント「キャリバー101」を搭載した機械式時計「ジュワイアリー101 アールデコ」(341万2,500円)なども見ることができる。同ムーブメントは1929年に同社が開発したもので、寸法は14mm×4.8mm×厚さ3.4mm。重量はわずか1gで、98個もの部品から構成されているという。