合体ロボットについて考える

ここで話は、「史上最強のロボット!」の中でできなかったテーマとして合体ロボットの考察へ。その代表格として柳田氏は、5つのマシンが合体して1体の巨大ロボットになる「超電磁ロボ コンバトラーV」を紹介した。

柳田「この速度では"合体"と言うか"衝突"。よく壊れない(笑)。しかも空中で、というのだから、すごく難しいと思う」

高橋「位置決めが難しいですよね。普通に止まっている物をロボットに持たせるのでも、ちょっとズレたりして……多少は修正できますが。そういえば、電車は動きながら連結しますね。あと、空中給油機もすごいですけど」

柳田「電車の連結では両方がレールの上に乗っているから、近づけていけば位置がズレることはない。でも実にゆっくり。それに比べると"コンバトラーV"はあまりにも乱暴(笑)」

高橋「でも速度差なので、たとえば時速200キロと202キロだったら比較的スムーズに合体できるはずですよね?」

柳田「そうなんですが、"コンバトラーV"は身長57m、体重550t……って歌で僕らの世代はたいがい知ってるんですが(笑)、それから考えると足が30m近く。映像では足の部分が自分の長さを1秒ぐらいで動いている。ということは秒速30m=時速108km。やはり速度差がそれくらいある訳で危ない。でも別に"合体が危ない!"という話がしたいのではなくて(笑)、たとえばテーブル上で車輪のついた3機ぐらいが合体して、立ち上がって動き出すロボットは作れないですかね?」

高橋「作れると思いますよ。一応、合体していろいろな形になるロボットは愛・地球博でも発表されてましたね。同型のユニットがくっついてミミズ型になったり、足で動く形になったり*

筆者注:産業技術総合研究所が開発した「M-TRAN III」のことと思われる

柳田「"科学忍者隊ガッチャマン"の敵・ギャラクターのメカがそうでしたね。小さいメカが合体してムカデ型になったり。攻撃を受けてもバラバラに逃げられるとか、本当か分からないですが(笑)。ただ、合体ロボの問題点は、ふだんはタイヤで動いていて合体後は足で動き始めるとなると、それぞれのモータが邪魔になること」

高橋「それは変形ロボットでも言えますね。結局、変形前後とか合体のための機構はムダになる。たとえばクロイノでも24個のモータ、バッテリ、マイコンが入って、配線もたくさん通っていて、いっぱいいっぱい。変形用とか合体用の機構を入れるのは厳しい。合体後の配線もつながらないといけないし……無線通信にする手もありますが」

"エボルタ"を手に持ちながら語る高橋氏

柳田「ただ、高橋さんが本の最後で言っていた、現実世界の最初のロボットはお金持ちのオモチャでいい、そこからだんだん普及して最終的に実用の場で活躍できればいい、という発想でいくと、合体ロボというのはまさに遊びの世界ですよね。戦隊の合体ロボは33作ぐらい続いていて大抵の人が観ているし、今ごろはお金持ちになってる人もいるかも」

高橋「ロボットが歩いてきて自分で頭をはめる、とかも合体に入るんですかね」

柳田「それはいいですね! シュールで(笑)。何かの芸術賞とか取れるのでは? カバンを自分で開けて足が出てきて、どんどんそこから部品を取って、自分を組み立てていくとか。"ヤッターマン"のゾロメカは、同じものが"カナヅチ、カナヅチ"とか言って歩いていくけど、バラバラのものが、頭、手、足、胸、とか言いながら歩いてきて。これは夢が広がる分野じゃないですか。たとえば、ふだんは家庭の中でふつうに使われているモノが、集まって合体ロボになるとか」

高橋「冷蔵庫が胴体になって、頭が電子レンジ、みたいな。でも、それぞれを使いたい時に困りますよね。"あれ、冷蔵庫がない!? トイレの掃除に行っちゃった"とか(笑)」