青森グルメといえば何を思い浮かべるだろうか。特産品としてはりんごが有名で、最近では郷土料理のいちご煮が注目を浴びていたり、B級グルメとしてはつゆがかかった黒石焼そばがある。少し前からは、せんべい汁が脚光を浴びている。さらに、食通ならば大間のマグロもはずせないところだろう。本州最北端の青森は、何気にグルメな県なのである。ここからは、8月2日~7日に開催されたねぶた祭りとあわせて、青森グルメを紹介していこう。今回は女性2人の旅を青森県庁観光課の森庸宏さんに案内していただいた。
大間のマグロ、の前に恐山へ
まずは、いきなりいっちゃいましょうか、大間のマグロ。皆さんが「大間のマグロ」と言っているのは本マグロ(黒マグロ)のことで、マグロの中でも特に大型である。高級マグロとして知られるのだが、平成13年の東京・築地市場の初セリで約200kgの大間のマグロに2,020万円の史上最高値がついたということを聞けばその理由もお分かりいただけることだろう。
大間は下北半島北部に位置する本州最北端の町。JR青森駅から野辺地駅へ向かい、下北駅で下車。もちろん移動中は、駅弁をしっかりいただいた。「ほたて釜めし」(900円)と「海峡弁当」(1,020円)。どちらもホタテやイクラなど、海の幸がいっぱい。磯の香りが漂ってきて、おなかも心も満たされる内容だった。
下北駅から大間へは車で向かったのだが、途中には恐山がある。ここは日本三大霊山の1つで、862年に慈覚大師が開山したといわれている。入場料500円を払い、中へと入る。境内には薬湯があり、参詣者は入浴できるのだとか。そういえば参道への道の両脇には湯の花が見て取れるし、硫黄臭は次第に強くなっていく。ふとみると、木造の建物に女湯という文字が。中では親子が深い湯船で足湯満喫中。白濁したお湯は少し熱めだった。
その後、再び恐山をまわってみたのだが、立ち込める硫黄臭、噴出す蒸気に圧倒され、この荒涼とした光景をみれば「恐山」と名づけたくなる気持ちも分かるような気がした。地獄のような光景を目の当たりにしながらたどり着いたのは極楽浜。深いコバルトブルーで透明度のある波ひとつない静かな湖面に、極楽浄土を連想し、穏やかな気持ちになっていった。
これぞ、キング・オブ・大間のマグロ
歩き回っておなかもすいてきた。さらに車を走らせ、下北郡大間町の「浜寿司」に到着した。ここは、青森県庁観光課・森さんの一押しなのだ。細い路地を行った目立たない場所にあるのだが、名店とは得てしてこういう立地にあったりするものだ。
オーダーしたのは「大間鮪握り合わせ」(5,500円)と「海鮮丼」(3,500円)。少々値は張るなぁと思っていたが、供されたすしと丼を見ればそんな気持ちは吹っ飛んだ。盛り合わせは赤身、中トロ、大トロが盛り込まれており、赤身ですら「今まで食べていたマグロはなんだったのだろう! 」と思うほど濃厚な旨みがあり、目からウロコ。中トロ、大トロは脂が乗っているのにサラリとしていてくどくない。「海鮮丼」は、中トロ、アワビ、エビ、サーモン、ウニ、イクラなどのすしダネを使っており、こちらも豪華。
「浜寿司」2代目大将、伊藤晶人さん |
マグロに舌鼓を打っている間にもお客さんは次々と来店してくる。「みんな遠くから来てくれてるからさ、やっぱりいいマグロ出さないとね。だから、寿司屋はみんなマグロで泣いているんだよ~」と笑いながら、2代目大将、伊藤晶人さんは話してくれた。
浜寿司
住所: 青森県下北郡大間町浜町69-3
電話: 0175-37-2739
不定休のため、要予約
※店舗データは取材時のものです
絶品マグロを堪能した後は大間岬へ。北緯41度33分、東経140度58分の場所は、本州最北端の地なのである。さすがマグロの町、岬にはマグロのモニュメントが設置してあった。 本州最北端の味に満足した後は、再び車で下北駅へ。そこからは電車で上っていくのだが、今回は特急列車「きらきらみちのく下北号」を利用。この列車は、グリーン車は畳のイスで、なんと津軽三味線のライブ付き! 青森旅情にどっぷり浸れる仕掛けが施されている。普通車の指定もなかなかすばらしく、大きな窓側に向けて各シートが配置されている。大自然の眺望を楽しみながらの電車移動。あっという間の充実した時間だった。