米Microsoftは、公式ブログ「Engineering Windows 7」において、Windows 7の多言語化技術に関するエントリ「Engineering Windows 7 for a Global Market」を公開した。同エントリでは、Windowsユーザーの大半が非英語圏に属している現状を踏まえた上で、どのようにWindows 7が多言語化されているかが語られており、本稿ではその抜粋を掲載する。
Windows 7をグローバルマーケットで展開するにあたって
Windows 7の多言語化は、新たにUnicode 5.1に対応したNTFSファイル名においてさまざまな文字をサポートするといった基本的なものから、背景やテーマにその国や地域に関連した写真などを含めるといった高度なものまでシステム全体に広範囲に及ぶものとなっている。しかし、適切な多言語化にあたってはどうしても欠かせない点がいくつかあり、以下ではそれらについて述べていこう。
フォント
フォントのサポートは多言語化の要だ。Windows 7では、サポートするフォントの種類を大幅に増やし、50の新フォントを追加している。
■表: Windows 7で追加された50のフォント | ||
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フォント名から予測される通り、新たに追加されたフォントのほとんどが非ラテン系言語のもので、実際、Windows 7はWindows史上初となる、ラテン系言語版よりも非ラテン系言語版の方が多く出荷されるバージョンとなる。特にインドで使われている言語では大きな改善が加えられ、わずか9言語のみがサポートされていたWindows Vistaとは対照的に、Windows 7では40以上もの言語が追加された。さらに、それぞれのインド公用語に対して、多書体、かつそのほとんどがさまざまな太さに対応したフォントが収録されている。
フォントを追加するだけでなく、既存のフォントにも改善が加えられている。例を挙げると、ConsolasやCalibri、Cambria Bold、Cambria Mathなどのラテン語フォントには、2,000カ所以上のグリフが追加された。さらに、非ラテン系言語の改善においても大いに力が注がれ、アラビア語や母音記号で使われている一般的なLam-Alef連字の表記が大幅に改善された。
フォントに手を加えるにあたっては、たとえそれが明確な改善だったとしても下位互換性の問題が常について回る。たとえば、ある文字の幅や位置を変更すると、既存のドキュメントの表示幅からはみ出したり、次ページへ繰り越されたりする可能性があるが、それは許されない。つまりフォントを変更するたびに、フォントメトリクスやその他の情報が変更されていないかを確認する大規模な作業が必要となってくるのだ。前述のLam-Alef連字の場合は、旧フォントのグリフの順序に依存するアプリケーションが存在することが確認されている。フォント開発チームは他言語アプリの互換性確認チームと密に連携することで、今回のWindows 7での変更がフォントのグリフの順序に影響を与えていないことを確認し、下位互換性が確保された。