もう1つ、茨城空港が他の地方空港と違うのは、首都圏の航空需要の一端を担う可能性がある点だ。特に、「成田や羽田発着便の空域が狭く限定されている一方で、別の空域を飛行できる茨城空港のメリットは大きい」(薮中課長)。
外国の航空会社が新規乗り入れや増便を要望する首都圏の空港容量は、実は慢性的に不足している。茨城空港への乗り入れを正式表明しているアシアナ航空は開港当初から毎日(1日1便)の運航を決めているが、これは地方空港としては異例なこと。首都圏の旺盛な旅行需要を想定しているのは間違いない。「ビジネスでは羽田や成田の大手航空会社を使い、レジャーでは値段の安い茨城空港発着のLCCを使ってもらえば」と関係者は期待する。
そのためには、アクセスは何より重要だ。茨城空港は東京駅から車で約85分の距離にあり、LCCが諸外国で使っている空港を見ると、少し遠いといえる。ただ、「現在、東京から水戸や石岡まで走っている高速バスを空港への直行バスとし、値段も2,000円以下と安価な設定を予定。また、空港近隣や千葉県北部などの利用者にとっては85分もかからない上に、1,300台収容可能な駐車場は無料。LCCを利用する格安旅行の市場に確実にマッチする」と見ている。
茨城空港にLCCが乗り入れるかどうか決まるのは、これからだ。「現在、就航に向けてマレーシアのエア・アジアX、それにマカオ、フィリピンなどのLCCと交渉中で、全容を公表できるのは開港3か月前を過ぎてから」(薮中課長)になりそうだ。
現在、日本に乗り入れているLCCは成田と関空発着のジェットスター、関空発着のセブ・パシフィック航空などごく少数で、利用者にはまだまだ馴染みが薄い。茨城空港にLCCが乗り入れたとしても、そういった特性を多くの利用者が理解する必要もある。しかし、価格志向の高まる昨今、LCCの安さはやはり魅力といえる。
まずは、茨城空港就航にどのLCCが名乗りを上げるのか。期待して待ちたい。
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