Bentoは昨年11月(USでは10月に発売)にBento 2へとバージョンアップ。「Microsoft Excel」や「Numbers」のデータ変換に対応するなど、より多くのユーザーに使いやすいソフトになった。そして今年5月、iPhone / iPod touch向けのBentoが登場した。Bento for iPhoneでは、デスクトップ版のBento 2との連携機能を搭載し、無線LAN経由でのデータ同期が可能。Bento 2で作成したDBを持ち歩き、気軽に利用できるようになっている。また、単なるDBのビューワーとしてだけでなく、Bento for iPhoneからもデータの編集が可能だ。
Bento 2との連携機能を搭載したBento for iPhoneを粟倉社長は、「DBの敷居を下げて、ユーザーの裾野を広げていく」ためのツールと位置づける。Bentoが目的とした個人でも使えるDBを、さらに広めていくためのツールとして開発されている。「(Bentoユーザーの)分母を増やすためにどういう方法があるか議論した」(同)結果として登場したのがBento for iPhoneだ。自由にDBを作成して情報を管理するというBentoのメリットは使ってみないと分からない部分が多い。こういった"実際に使ってみないとわからない部分"を解決するひとつの方法としてBento for iPhoneが提供されたのだ。
粟倉社長によれば、米国ではBento for iPhoneの配信以来「ブームになっている」ほどの人気で、欧州や日本を含めたアジアにおいても「期待どおり(ダウンロード数は)増えている」という。またBento for iPhoneの提供を開始したことで、デスクトップ版Bentoの体験版ダウンロード数が急増しているという。Bento for iPhoneの配信が開始されて以降は、配信前の4月末時点の実に6~7倍という数字をたたき出しているそうだ。デスクトップとモバイルの連携を期待したユーザーの多さを物語っており、粟倉社長も「手応えを感じている」という。Bento for iPhone単体の売り上げ以上に、デスクトップ版への波及効果という広告効果にも期待していると粟倉社長は話す。
600円という手ごろな価格付けもポイントだ。この価格は、「戦略的に決めた価格」(同)とのことで、iPhoneユーザーに受け入れられやすい適当な価格をつけたという。価格は手ごろながら、「DBのグローバルリーダーとしての自負がある」(同)同社だからこそ、ビューワー機能だけでなく、作成、編集機能も備え、iPhone単体でも使いこなせるよう開発されている。Bento for iPhoneでは、デスクトップ版のBento 2のほぼすべての機能を実装している。
ただし、こうして搭載したスペックが「独りよがりになって押しつける」(同)形になるのを避けるため、粟倉社長は「ユーザーの声を聞く」ことを重視している。この「声を聞く」というスタンスは粟倉社長の経営理念にもつながっている。