そして、個人的に「これだ!」と感覚的にはっきりと手ごたえを感じることができたのが、"リフォーマー"と呼ばれる矯正マシンを用いたエクササイズだ。ピラティスとはそもそも、第一次世界大戦で負傷した兵士のリハビリを目的にドイツ人従軍看護師のジョセフ・ピラティスにより開発されたもの。なので、様々な器具が開発されており、それらは今でも用いられているのだという。

"リフォーマー"の見た目は、骨折をしたときに患部の吊り下げに使う"ギブスマシン"のよう。固定ベルトに両足を通した状態で、元の状態に戻ろうとする"慣性の法則"に従い、胸式呼吸を保ちながら正しい姿勢を保つ作法を体得していく。例えるなら、アニメ『巨人の星』に登場した"大リーグボール養成ギブス"のような器具だが、挑戦してみるとさっきよりも胸式呼吸ができているかどうか実感できた。

そのほか、"スパインコレクター"と呼ばれる器具を利用したマット運動によるエクササイズを体験。これは、背中を器具に沿わせてストレッチを行うというものだが、単純な器具の見た目に反し、意外に難しいというのが率直な感想。しかし、ストレッチを続けるうちに器具に接した背骨がどのような動きをしているかを意識的に理解することができた。

こちらがリフォーマー。胸式呼吸をしながら足を前に押しだす

スパインコレクターでは、ストレッチ的な動きをしながら、自分の身体の動きを理解できた

スパインコレクターを使った別のエクササイズ。こちらも見本を見せてもらうも(左)、同じようには……やっぱりできない

最後に、最初と同様に姿勢をチェック。最初よりも身体のあちこちが伸び、姿勢が良くなっている気がする

講座を終え、今回インストラクターを務めてくれた桝口薫さんは「ピラティスの目的は、個々が持っている筋肉や関節の働きを最大限に引き出すことにある」と教えてくれた。つまり、筋肉の"質"を高めていくことが大事で、それにより不快な部分を和らげることができたり、スポーツのパフォーマンスアップにつながったりすることが期待されるという。

インストラクターの桝口薫さん

また、桝口さんによると、ピラティスにはダンスを取り入れたものなど様々な流派が存在するそう。しかし「正しい呼吸と意識して筋肉を使うというピラティスの基本は同じ。そこに行き着くまでの過程が違うだけで、それぞれをいいとこ取りをして効果を高めてほしい」と桝口さん。さらに、今回体験取材をさせてもらった「PILATES STYLE」では、ピラティスの様々なプログラムを用意し、それらをパッケージで提供しているのが特長なのだそう。「流派の垣根を越えたピラティスを体験してほしいですね」と、自ら講師を務めるスタジオの魅力を語った。


体験を終えての感想は、ピラティスとは自分の身体と向き合って、対話をしていく行為だと実感した。不適正を矯正する"リハビリテーション"からはじまったということもあり、自分の身体のコンディションに合わせて身体を動かしていくので、年齢に関係なくチャレンジできる。また、ヨガのようなスピリチュアルなインストラクションもないので、純粋にスポーツ感覚としても楽しめるだろう。「ピラティスは、ゴルフの飛距離を伸ばすなどスポーツのパフォーマンス向上にも効果的ですので、男性の方にもぜひ利用していただきたいですね」(桝口さん)。個人によって様々な取り入れ方ができるエクササイズ、ピラティスをぜひお試しいただきたい。