検索結果をスライス&ダイス

米Googleは5月12日(現地時間)、米カリフォルニア州マウンテンビューで「Searchology」を開催した。「Google検索の"教書演説"のようなイベント」と言われており、2007年に続いて今回が2回目だ。「検索ツール (Search Options)」「Rich Snippets」「Google Sky Map for Android」などを発表、また開発中の「Google Squared」やモバイル検索の新機能のプレビューなどを披露した。

最初に登壇したUdi Manber氏は「20世紀の人類の取り組みは自然との戦い(道路・ダム、飛行機など)だったが、21世紀に入り人々を理解する取り組み(ヘルス、コミュニケーション、教育、ナレッジなど)が活発化している」と切り出した。検索は、その変化をけん引するテクノロジであるという。検索に求められるのは、スピード、関連性、総合力、そして最新情報だ。今日、デジタル情報が爆発的に増加する中、人々の検索への依存は強まる一方である。同氏は検索チームの仕事を「当たり前のように用いられるロケットサイエンス」と表現した。

ユーザーがスペルできないのはGoogleの問題、言葉が通じないのもGoogleの問題、Webが遅いのもGoogleの問題。「ユーザーのあらゆる問題を解決するのがGoogleの役割」

Googleは2007年のSearchologyで、様々な種類の検索結果を統合的に提示するUniversal Searchを発表した。当時は検索全体の2%程度でしかUniversal Searchを利用できなかったが、今では25%程度が対象になる。Universal Searchは、検索結果からユーザーがより多くの情報を取得し、リサーチを効率的に進める手助けになる。

それでも、今なお以下の5つのような点でユーザーが不満を感じているという。

  • 最新情報を見分ける
  • 必要に応じた検索タイプへの絞り込み
  • ベストな結果への絞り込み
  • リサーチ・分析
  • 的確なキーワード入力

これらの問題に対処するには「Slice and Dice」が必要になるとSearch & User Experience担当のバイスプレジデントMarissa Mayer氏。情報を小さなパーツに分け、様々な視点から調べられるようにすることで、ユーザーの理解が深まる。そのソリューションとして、検索ツール (Search Options)のデモが披露された。同ツールについては、ニュース記事を読んでいただくとして、特にアピールされたのがワンダーホイール、そしてタイムラインだ。データが情報マップやグラフのような形で"視覚的"に表現される。例えば記事数の多い月をひと目で見分けられるなど、データを切り分けやすい。それがユーザーの新しい発見につながる。

情報マップで検索トピックを辿れるワンダーホイール

時間で結果を切り分けられるタイムライン

Rich Snippetsは、ユーザーが検索結果リストを見分ける際に役立つような情報をWebページから抽出してスニペットに表示する。例えばレストランレビューの5つ星評価や製品レビューの点数など。MicroformatsまたはRDFaをサポートしており、Webパブリッシャがこれらに対応すれば、Rich Snippetsに反映される。

スニペットでレストランの5つ星レビューを確認可能

Jared Jacobsという個人名に対して、Rich Snippetsでは所属社名や地域などが表示される

今月後半にGoogle Labsで公開されるというGoogle Squaredは、検索クエリに対するデータをインターネット全体から吸い出し、結果を表形式で表示する。デモでは「small dogs」と検索したら、小型犬の種類名、写真、説明、サイズ、体重などが表組みされて返ってきた。まるで犬のデータを集めたWebページを見ているようだ。

Google Squaredで「small dogs」を検索。小型犬のデータが表形式で表示された

検索自体は非常にシンプルに見える。だがインターネット中に散らばるスタイルの異なったデータを集めて、それらを構造的にまとめているのだ。様々なWebサイトを回って小型犬のデータを収集し、一つひとつをスプレッドシートに入力する作業を想像してほしい。「このスクエアを作成するには莫大な処理能力が費やされる」とMayer氏は述べいてた。結果は完璧ではなく、奇妙な部分も目立ったが、それらをユーザーが修正する機能も用意されている。