新社屋の特徴としては、総面積の半分以上を占める、物流とサービスセンターにも注目したい。ドイツ国内だけではなく、オランダやフランスなど欧州全体に向けての物流の"本拠地"となるカシオ欧州。旧社屋時代には余計な横持ちなどで落ちていた作業効率を、新社屋では倉庫をまとめることで改善し、更に早いデリバリーとコストセーブを図っている。
多面的なエコ化プロジェクト
今回の新社屋のエコ化は「新しい時代の流れやニーズに対して、コンシューマー商品をつくる会社として新しい価値を創造していきたいという想いから」とはカシオ欧州・中村寛社長の言葉。1月に移転したばかりのため、現時点での省エネ効果は数値として発表していないが、「すべて計画どおりに進んでいます」という力強いコメントもいただいた。また、社屋がエコなだけではなく、展開する商品の生産過程でもCO2排出量の削減などエコに配慮した取り組みを進めているという。パッケージを含め、かなりの部品にリサイクル素材を活用したエコ電卓も3月初旬にリリースしたばかり。「欧州の拠点として、"エコ"という観点からも商品を強化していきたいです。エコを謳った商品もこれまで以上に展開していく予定です」と中村社長は続ける。
移転に際して、「通りの名前でも考えて」という市長への冗談から生まれた「CASIO PLATZ」。「道に名前がつくということで、この土地にカシオという名を刻んだことになる。我々にとっても重要な拠点」と中村社長の言葉も重い |
単純に「エコ化」と言ってしまっても、消費エネルギーから地球環境に貢献したり、つくり出す製品をエコフレンドリーなものに変えたり……、その方法論は幾らでもあることに改めて気付かされた。市長の粋なはからいで「CASIO PLATZ」という社名を冠した通りに建つ、カシオ欧州。"エコ"を実現する「箱」が完成した今、"機能性とユーザーのベネフィットを追求する"ことを掲げる日本の老舗ブランド・カシオが、ここドイツの地でその箱を拠点として何を生み出していくのか、期待したい。