林監督は「尾上さんの美しさも見どころです」と

――ヒロイン・美蘭役の稲森いずみさんの印象は?

尾上 : 「実際はとても温かい方なんですが、美蘭の役に入ったときは氷のような冷たさを表現される。すごく不思議な方です」

林監督 : 「僕は映画『CAT'S EYE』(1997年)で一緒に仕事をして、いい女優さんなのでまたいつか仕事をしたいと思っていました。すごく映画向きの女優さん。今回は中国語や歌、ダンスの特訓もあって大変だったと思うんですが、すごくがんばってくれました」

「決闘だ!」と、一生に一度は言ってみたい

――往年の日活スター・宍戸錠さん、東映スター・松方弘樹さんも共演されていますね

林監督 : 「銃撃戦のシーンで『決闘だ!』と銃を構えるお2人の格好良さには、撮ってる僕自身がドキドキしました。『決闘だ!』なんて今どき絶対言わないですけど、男の子なら一生に一度は言ってみたいですよね(笑)」

尾上 : 「あの撮影は僕も見ていましたけど、シビれましたね!」

暗号の秘密を握る歌姫をミステリアスに演じる稲森

往年のアクションスター、宍戸&松方が夢の競演を

――林監督は、デビュー作の『夢みるように眠りたい』(1986年)から多くの探偵映画を撮り続けていらっしゃいますね

林監督 : 「僕は少年探偵団の世代で、子どものころから"探偵"という響きに弱い。ロマンチシズムを感じます」

尾上 : 「僕も探偵には憧れがありました。実際の探偵の仕事は人を疑うことから始まると思うんですが、『探偵事務所5』シリーズの探偵たちは人を信じるところから始める」

林監督 : 「僕の映画の探偵は、推理しないし、事件をあまり解決しない(笑)。あと、依頼者を好きになっちゃうのは探偵としてタブーですよね。探偵としてはリスクを背負ったキャラクターなんですよ」

――507も冷静沈着かと思いきや、美蘭と出会ったことからそれとは違う行動で危険に身を晒していきますね

林監督 : 「人って、自分がこういう人間だと思う姿を持続させたい気持ちと、それを崩したい気持ちの両方を持っていると思うんです。崩すことは他者の介入か状況の変化でしか起こらない。だからいろんなことに飛び込んじゃうし、そこがおもしろいじゃないですかね。後で失敗したなと思っても、そこには変化がある」

――『THE CODE/暗号』の最大の見どころはどこでしょうか?

林監督 : 「若い方には暗号を中心に置いた尾上さんと稲森さんのふれあい、50歳以上の方にはエースのジョー復活の銃撃戦アクションと、いろんな世代に楽しんでいただけるよう作りました。その中で、この映画に込めたメッセージの“暗号”を解読しながら見ていただけると何倍も楽しんでもらえると思います」

――では、お2人にとって最も難解な"暗号"とは?

尾上 : 「女性の心はわからないですね」

林監督 : 「本当にわからないですねー。男は複雑化しないからわかりやすいけど」

尾上 : 「かなり高度な暗号だと思います(笑)」

『THE CODE/暗号』は、5月9日(土)より、東京 丸の内TOEI2、大阪 シネ・リーブル梅田、京都 京都シネマ、神戸 シネ・リーブル神戸ほか全国で公開される。