『私立探偵 濱マイク』の林海象監督が企画・原作を手がけたインターネットシネマの人気シリーズ『探偵事務所5』の集大成となる劇場映画『THE CODE/暗号』が公開される。上海を舞台に、暗号解読の天才・探偵507の活躍を描く今作について、監督の林海象、507役で現代劇初主演に挑んだ歌舞伎界のプリンス・尾上菊之助に聞いた。

林海象監督(左)と尾上菊之助

――尾上さん演じる探偵507の人物像は?

林海象監督(以下、林監督) : 「謎のキャラクターですね。507は暗号の天才。暗号は何かを隠すためのものですよね。507にはこんな過去があったからこうなったというバックグラウンドの匂いはない。じゃあどういう人なんだという"暗号"を、映画を作るにあたって我々は解いてはいますけど、物語の中でその答えを見せていません。わかってるけど見せない(笑)」

尾上菊之助(以下、尾上) : 「人物像についてはすごく迷いましたね。数字には長けているけれど、一体どんな人なんだろう? と。暗号に関するいろんな本を読ませていただいたり、映画の中に『暗号は情報を守ると同時に、大切な情報を人に伝達するもの。また、人の苦しみを開放するもの』というようなセリフもあるんですが、そういった"暗号"を通して人物像を膨らませました」

――尾上さんは、本格的なアクションシーンは今作が初めてということですが、ご苦労された点は?

林監督 : 「ほとんどすべてのアクションを、尾上さんご本人が吹き替えなしで演じられてますからね」

尾上 : 「すべて自分でやることがいいとは決して思ってないんですよ(笑)。でも、できることはやらせてくださいとお願いして。いざ上海の撮影でやってみたら、上海の役者さんは殴るときは本気なんですよね。ですから、受けるタイミングが合わなかったりしたときに……」

林監督 : 「本当に殴られてましたよね」

尾上 : 「殴られました(笑)」

林監督 : 「びっくりしました。僕、止めましたよ。『本当に殴らないで』と(笑)」

尾上 : 「日本と中国で言葉は違いますけど、アクションなどでコンタクトを重ねて、みんなが1つの方向に向かっていけたという気がします」

『THE CODE/暗号』ストーリー

川崎市にある創立60年の『探偵事務所5』には、5から始まる3桁の番号で呼ばれる100名の探偵たちが所属している。その中の1人、暗号解読に天才的な能力を持つ探偵507(尾上菊之助)に、上海支部から依頼が届く。送られてきた写真には、これまで見たこともない配列パターンで並ぶ暗号の一部が写っていた。魅せられるように上海に飛んだ507は、依頼人の女性・美蘭(稲森いずみ)に接触を図るが……。

映画を見て解いたという方がいたら何か差し上げたいですね(笑)

――劇中に出てくる、複雑な数字の配列の"暗号"は、どのようにして作られたんですか?

林監督 : 「うちの演出部のチームが研究して、『暗号事典』という本を書いた吉田一彦先生にレクチャーを受けながら一緒に作りました。だから、解き方さえわかれば本当に解ける、本物の暗号なんです。難しいから僕には解けませんが、映画を見て解いたという方がいたら何か差し上げたいですね(笑)。内容も映画の中で言っていることとちゃんと符号してる。ああいうところがウソだとバレるんですよ。ウソでも多くの人にはわからないんだろうけど(笑)、偽物と本物はやっぱり違う」

「林監督のクールでスタイリッシュな映像も魅力」と尾上

――尾上さんは暗号を解いてみたいと思いましたか?

尾上 : 「数学は好きですが、暗号はものすごく複雑なので1日では無理ですね(笑)」……続きを読む