撮影モードは、プログラムAEやマニュアル露出のほか、全自動、クリエイティブ全自動、ポートレート、風景、スポーツ、動画など計14モードが用意される。クリエイティブ全自動とは、EOS 50Dから継承した機能で、ビギナー向けに各種機能を簡素化し、専門用語をやさしい言葉に置き換えたモードだ。たとえばプログラムシフトは「背景:ぼかす/くっきり」、露出補正は「写真:暗く/明るく」となる。全自動モードとプログラムAEの中間的なモードと考えていい。

クリエイティブ全自動(CA)モード選択時の液晶画面

Kissシリーズでは初となる動画モードは、最大1920×1080ピクセル/20fpsのフルHD記録で、最大4GBまでの連続撮影に対応する。ファイル形式はH.264圧縮のMOVで、音声は内蔵マイクによるモノラル録音となる。モードダイヤルを「動画」にセットすると、自動的にライブビュー画面が表示され、背面の動画撮影ボタンを押して録画をスタートできる。その際、AEロックボタンでAFを作動させることが可能だが、ライブビューでのコントラストAFはスピードが遅く、AFの駆動音も録音されるため、ピントは撮影前に合わせておくのが現実的な使い方だろう。

動画
フルHD動画の作例。再生時間約27秒、ファイルサイズ約131MB

AFに制約があり、ズーム操作が手動であるなど、家庭用ビデオカメラの代用になるような動画機能ではない。だが、ビデオカメラよりも撮像素子が大きいので、ボケ味のある動画撮影を楽しめるのは一眼レフならではだ。超広角から超望遠までのさまざまなレンズ交換ができることも、家庭用ビデオカメラに勝る自由度といえる。

ライブビュー画面には、グリッドやヒストグラムを表示でき、5倍/10倍の拡大表示にも対応。ライブモードのAF枠は好きな位置に動かせる

タブによって整理されたメニュー画面。自分にとって必要な機能のみをまとめて表示する「マイメニュー」が便利だ

静止画用のライブビューは、従来機と同じく内部のミラーとシャッター幕を一時的に開き、撮像素子に光を当てる方式だ。ライブビュー時のAFは、作動音が小さい「ライブモード」と、合焦速度が速い「クイックモード」に加え、「顔優先ライブモード」に新対応する。ただし、ライブモードと顔優先ライブモードは、撮像素子上で画像のコントラストを識別してピントを合わせる方式のため、合焦速度は遅く、動体撮影には向かない。一方のクイックモードは、AF作動時にミラーがぱたぱたと動くのが気になるが、AFスピードは速い。用途に応じて使い分けたい。

上位機から継承した「周辺光量補正」では、最大でレンズ40本分の補正データを登録できる

そのほか、画像四隅の明るさの低下を抑える「周辺光量補正」を上位機から受け継ぎ、明るさやコントラストを自動的に最適化する「オートライティングオプティマイザ」機能は度合いの調整が可能になった。また、ISO感度は標準でISO100~3200に対応し、感度拡張をオンにするとISO6400や12800を選択できる。

中級機EOS 50Dに比較すると、連写やファインダー性能、操作のカスタマイズ性などに差があるため、匹敵する性能とまではいえないが、動画についてはEOS 50Dにはない魅力だ。もちろん、従来機X2との比較では、各性能が確実に進化している。……続きを読む

高感度ノイズ低減は、効果の度合いを3段階から選べる

オートライティングオプティマイザも3段階を選べる