120万部以上を売り上げた料理本『ごちそうさまが、ききたくて。』(文化出版局)をはじめ、数々のヒット本を世に送り出してきた料理研究家・栗原はるみさん。3月には著書累計発行部数が2,000万部を突破しており、料理家としては日本初の偉業を成し遂げたことを記念してこのほど、東京・新宿の「パークハイアット東京」にて記者会見が開かれた。
生涯専業主婦と決めていたのに……
専業主婦だった栗原さんが料理家として活躍するきっかけになったのは、夫でテレビのフリーキャスターだった栗原玲児さんがつれてきたテレビ関係者を手料理でもてなしたことだったとか。料理のおいしさが評判となり、1983年にテレビ番組の裏方として料理アシスタントを務めることになった。
1989年には初の著書『献立が十倍になるたれの本』(文化出版局)を出版。その後も順調に料理本の出版は続くが、主婦から本格的な料理家へと成長するなかで、忙しさのあまり自身の料理の方向に迷いが出ていったという。そこでありのままの自分を出し、自宅で使っている器を使って、家族が好きな料理を紹介する『ごちそうさまが、ききたくて。』(文化出版局)を1992年に出版。「これが売れなければ、料理家は辞めるつもりだった」という同書が爆発的に売れたことで、「その後の方向性が定まりました」。
ゆとりの空間代表取締役で栗原さんの息子である栗原心平さんは、「(栗原さんの)仕事の基本スタンスは、ずっと変わっていません。家族の幸せを常に願って、その中で自分ができることをやってきただけです」とコメント。
次に栗原さんが登壇し、「結婚前も後も、一度も仕事をしたことがなく、生涯専業主婦と決めていました。なぜかこんなに忙しい女になってしまいました」と苦笑。現在に至るまでの流れを振り返りつつ、「毎日の暮らしをいつも楽しく、家族につくっているおいしいものだけを提供するという姿勢を変えずにやってきました」と話した。
2,000万部突破という偉業に関しては、「いい家族がいたから、成し遂げられたのだと思います。私のモットーは、"家族が一番大事"。料理の中に子育ての思い出が詰まっているんですよね。自分の本を読むと、子育ての時代を思い出します。それが私自身の元気の源にもなりました」。