既知の問題
すでに正式リリースを目前にしているUbuntu9.04ではあるがまだベータ版であり、当然バグが存在する。すでにいくつもの問題が報告され修正されている。既知の問題としてもいくつかリストアップされており、現在判明している問題を以下にいくつか取り上げる。
- Ubuntuを長時間利用しているとXがクラッシュする
- intel i8xxビデオチップが認識されず、intelドライバがロードされない
- ファイルシステムをマウントしている状態でインストーラを起動すると警告ダイアログが表示され、"go back(戻る)"を実行しても戻れない
- インストーラ時に表示されるグラフィカルなディスク情報の表示に誤りがある時がある
- インストーラで設定を移行させる時、前のOSがディスク全体を使用している場合に移行できない
- インストーラで時刻の設定時に表示される世界地図の都市の場所が間違っている
- fglrxドライバを使用している場合、アップグレードを行うとドライバの置き換えに失敗する
- わざとXの強制終了用ショートカットキー「Control+Alt+Backspace」を無効にしている
Beta版ということですでに多くのバグフィックスが行われており、クリティカルな問題はほぼ修正されているといえる。現在報告されているバグの多くがUbuntuのシステムというよりは、アプリケーション固有の問題のものが多い。特にUbuntu 9.04からX.Org サーバが1.6に上がったために生じた問題が多いようだ。
また既知の問題の中でもアプリケーション側に問題があるものについては、Ubuntu側でサポートするのではなく、インストール後にそのアプリケーションのバージョンをアップすることで解決してもらうという形をとっているものもある。
上記既知の問題以外にも、新たに発見された問題がバグトラッカーに報告されつづけている。これらのバグも正式リリースまでにフィックスされていくだろう。
試用を考えているユーザは先にテストサイトを見てから作業を行った方がよいだろう。また、Jaunty Jackalopeを試用しているユーザでバグを発見された方はどんどんUbuntuのバグトラッカーに報告していただきたい。また、逆にバグを修正したユーザであればバグスクワッドに一報をいれてみてはいかがだろうか。
Linuxを覚えたい方にぜひ! 936ページのUbuntu入門書
手前味噌になるが、最後に筆者が執筆した書籍『Ubuntu スタートアップバイブル』を紹介させてほしい。
この書籍は、初心者向けに開発されているUbuntuに目をつけ、Linuxの本格利用への足がかりとなるよう執筆した一冊だ。UbuntuをベースにLinuxを体験してもらい、初級者がデスクトップ環境としてUbuntuを日常的に利用できるよう、インストールからデスクトップアプリケーションの使い方までを説明している。
また、Ubuntuの導入後、よりLinuxを深く理解できるように、UNIXの歴史や基礎概論にも触れているほか、開発環境やシステム管理、サーバシステムといった中級者向けの情報も盛り込んでいる。
非常に幅広く網羅したために936ページと分厚くなってしまったが、その分この内容さえマスターすれば、胸を張ってLinuxユーザと言える1冊になっている。本稿の読者のようにベータ版を試すようなユーザーには必要ないかもしれないが、4月から新人が配属される部署など、Linuxを覚えさせなければいけない人が周りにいる方は、ぜひこの本を勧めていただければ幸いだ。