大:昨日のGavrielov氏のプレゼンテーションの1枚ですが、個人的にはこれは理解できます。65nm/45nm/32nmといった先端プロセスを使う場合、その投資額は半端ではない。ただ、特にコンシューマ市場の顧客の場合、彼らはそうした先端プロセスは必要としていません。彼らには180nmや130nm、90nmなどで十分です。
Tralka:もちろん、それはそうだが、FPGAはプロセスを進めることで、より柔軟性や性能を高く保つ事が可能になる。確かに旧来のプロセスを使って製品を作る事は可能だが、ただそうした製品はCompetitiveとは言えなくなると思う。
大:その答は次の質問に繋がる話です。コンシューマ市場向けのカスタマは、単にDigital Logicだけではなく、AnalogあるいはMixed Signalも必要になります。そして130nmなどの旧来プロセスでは、AnalogやMixed Signalの混在が容易です。価格を下げるという観点からすれば、130nmなどでSoCの形で1チップにすることが重要だと思うのですが。
Tralka:たしかにそうしたアプリケーションは、今のところFPGAに適していない。ただ我々はあるレベルのMixed Signalを取り扱える能力がある。例えば高速のSerDesがその一例だし、Virtexに入っているSystem MonitorはA/DやD/Aの能力を持っている。ただ、複雑なAnalogやMixed Signal回路、例えばフィルタリングなどをFPGAで実現するのは現実的ではない。こうしたものがFPGAで実現できるかどうかもはっきりしない。
Q:先ほどFPGAはASICのマーケットを狙うという話でしたが、ASICとかASSPのマーケットも差別化のために、Mixed SignalやAnalogを取り込む方向に進化しつつあります。そう考えると、FPGAも将来はこうしたMixed Signalなどをカバーできるようにならないといけないと思うのですが? 実際競合ベンダであるActelはFusionというSolutionで、限定的ではあるもののMixed Signalを扱えるようにしています。このあたりどうお考えでしょう?
Tralka:Xilinx自体は、Mixed SignalをProgrammable Deviceで扱えるようなテクノロジの研究を、もう20年も継続して行っている。ただ、今、例に挙がったようなアプリケーションに、効果的に利用できるような製品が登場する可能性は今のところ極めて乏しい。なので、今のところそうしたものの製品化は考えていない。
Q:ではデジタル回路に限っても、例えばもっと小規模で低消費電力の製品など、ラインナップを広げるという予定はおありですか?
Tralka:今のところそうした製品に関して具体的にアナウンスできるものはまったく無い。
大:それは"何故"かをお聞きしても宜しいですか? つまりそれは、そのマーケットがそれほど大きいものにならないと予測されているのか、あるいは何らかの技術的な困難があるのか?
Tralka:それは要するに、Xilinxとしてどこのマーケットを狙って(製品化に繋がる)投資をおこなって、リターンを得るかという問題だと思う。もちろん我々は、そうしたマーケットを狙うことは現在でも可能だし、引き続きそうしたマーケットをカバーするつもりでいる。
Q:SRAMベースではどうしても消費電力が大きくなるから、省サイズでは難しいとも思うのですが、そうなるとFlashベースについてはどうお考えでしょう?
Tralka:確かにSRAMベースの回路は消費電力を喰う事は間違いない。ただ個人的には、SRAMベースでもそうした低消費電力向けに対応させることは可能だと思う。Flashに関しては現在CPLD製品で採用しており、こちらも省電力性が求められるアプリケーション向けに低消費電力を実現できている。この2つはまったく異なるTechnologyであり、我々は引き続き両方のTechnologyのどちらが良い製品を構成できるか、を検討し続けている。不揮発性が必要とされる部分には、Flashプロセスが向いているのは確かだ。