「iMovie」は、動画の手ぶれを分析して映像の揺れを低減する「手ぶれ補正」機能が搭載されたのが大きな目玉。この機能を使うと、撮影時に手ぶれしていても、ある程度までは補正を行える。使い方は簡単で、映像を選択してファイルメニューから「手ぶれ補正の解析」を選ぶだけ。実際に試してみたところ、ぶれの量が小さい場合は、かなりきれいに補正することができた。ただし、ぶれの量が大きい場合は手ぶれ補正自体ができないこともあった。
なお、手ぶれ解析時はマシンの負荷も大きくなるようで、解析の時間もかなりかかる。そのため、ある程度の長さのビデオを補正する場合は、就寝中などMacを使用していない時間に作業させた方がいいだろう。とくに動画の解像度が高ければ高いほど解析にかかる時間も増えるようだ。
この他、新しいiMovieには、「テーマ設定」や「地図アニメーション」などの機能も搭載されている。テーマ設定は、映像にハリウッド映画のような演出を加えられる機能。掲示板やフィルムストリップ、コミックブックなどのテーマがあらかじめ用意されており、好みのものを選ぶだけで、そのテーマに合ったトランジションやエフェクト、アニメーションが自動的に適用される。地図アニメーションは、旅行などの経路を地球儀や地図上に赤い線で表示してくれる機能。アドベンチャー映画などでよく使われる演出だ。いずれも、映像にワクワクするような楽しさを簡単にプラスできる。
楽器の弾き方を学べるGarageBand
「GarageBand」は、今回のバージョンから「レッスンストア」機能が搭載されており、「基本レッスン」と「アーティストレッスン」をネット経由でダウンロードできる。基本レッスンは無料で、9回のレッスンをすべてマスターすると楽曲を1曲通して演奏できるようになる。アーティストレッスンは有料だが、ジョン・フォガティやノラ・ジョーンズなどの著名アーティストが演奏テクニックをムービーで解説してくれる。現在のところ、アーティストレッスンは1ムービーあたり480円という価格設定になっている。
GarageBandのメインウインドウ。今回のバージョンから、「演奏方法を学ぶ」と「レッスンストア」という項目が増えている |
レッスンストアからダウンロードしたレッスンは、「演奏方法を学ぶ」に追加される |
ちなみに、基本レッスンのムービーに登場する先生は外国人だが、日本語で吹き替えられているため、言葉の心配はいらない。レッスンでは、画面上に楽器のアニメーションなども表示されるため、どうやって弾けばいいのかが視覚的にわかりやすくなっている。
この他、GarageBandには新しいアンプとストンプボックスエフェクターも搭載され、伝説のギターリグのサウンドを再現することも可能になっている。
まとめ
顔認識や動画手ぶれ補正など、数多くの画期的な新機能を搭載した「iLife '09」。機能自体は増えたものの、マウス操作を基本とした「使いやすさ」は従来のまましっかり受け継がれている。そのため、初心者でも、手軽に写真や動画、音楽などのデジタルメディア制作を楽しめる。
個人的には、iPhotoの顔認識とGarageBandのレッスン機能が特に印象に残った。これまでのGarageBandは、ある程度音楽演奏の経験があるユーザーでないとハードルが高く感じる部分もあったが、今回のバージョンではまったくの初心者でも取っ付きやすくなっているのがうれしい。
これだけ多彩なソフトがセットになって8,800円というのは、破格といえるのではないかと思う。ひとつやふたつ使わないソフトがあったとしても、十分元は取れるはずだ。少なくとも損したと思うことはないだろう。なお、新しくMacを買った場合はiLifeは最初から製品にバンドルされて付いてくる。古いマシンを使っているユーザーは、この機会に買い替えを考えてみてはいかがだろうか?
■仕様 | |
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製品名 | iLife '09 |
09 | |
対応OS | Mac OS X 10.5.6以上(QuickTime 7.5.5以上) |
メモリ | 512MB(1GB以上推奨) |
4GB以上 | |
価格 | 8,800円 |