2005年1月のMacworld Expoでデビューした、iPod shuffle。「Life is random」という洒落たキャッチコピーのとおり、シャッフル再生を前面に打ち出したことで話題となった。液晶パネルを搭載しないなど割り切った仕様に加え、iPodファミリーにおける最廉価のモデルとして、ユーザー層の裾野を広げた実績は見逃せないものがある。
そしてこの11日に発売された新モデル。第3世代となり大胆な"フェイスリフト"を受けただけでなく、本体から操作部が取り除かれたうえ、しかも今度は「Voice Over」(ボイスオーバー)という機能により「Life」ならぬ「人声」を語るという。
今回、米Apple iPodワールドワイドプロダクトマーケティング担当のショーン・エリス氏から話を伺う機会を得たため、製品コンセプトや前述の「Voice Over」について、いくつか質問してみた。
Apple担当者はかく語りき
質疑応答に入る前に、製品のコンセプトや新たに開発した技術について、エリス氏から説明があった。どのようにして第3世代iPod shuffleが生まれたか、まずは担当者の言葉に耳を傾けてみよう。 * 最初のiPod shuffleを発売したとき、ユーザーの皆さんから小ささについて大きな評価をいただきましたが、その直感的な操作性と、音楽体験を再発見できるシャッフル機能も大変好評でした。2世代iPod shuffleでは、第1世代と同じ直感的な操作性を維持しつつ、さらなる小型化とクリップの追加を行いました。世界最小にしてもっともウェアラブルなオーディオプレイヤーが誕生したわけです。
社内で次期iPod shuffleの方向性をどうするかという話になったとき、「小ささ」と「ウェアラビリティ」、そして「使いやすさ」の3点はそのまま継続したい、ということになりました。一方、ヘッドフォン内蔵のコントローラがiPhoneのユーザーにとても好評という話も耳にしました。そこで、第2世代のiPod shuffle本体部分についていた操作部をそっくりそのまま、ヘッドフォンのコードへ持っていこうとなったのです。
第3世代iPod shuffleでは本体からコントローラが取り除かれていますので、本体自体は尻のポケットに入れようがカバンへ入れようが、いつでも自分の使いやすい場所へ収めておくことができます。コントローラを本体から取り除いた結果さらなる小型化も可能になり、ミュージックプレイヤーとして世界最小レベルを実現しています。体積でいえば、第2世代iPod shuffleの半分程度です。一方、容量は第2世代の2GBから倍の4GBへとアップ、収録曲数も最大1,000曲に増えています。
ソフト面も進化しています。第3世代iPod shufflesは、シリーズでは初めて、iTunesで作成したプレイリストを同期することが可能になりました。容量が4GBに増加しているので、これは理に適っていることといえます。プレイリストを活用することによって、楽曲の管理がより簡単になります。
もう1つの新機能「Voice Over」は、革命的な新機能といえるでしょう。ユーザーに話しかけるミュージックプレイヤーとしては、世界初です。ボタンを押すだけで曲名やアーティスト名、バッテリーの残量といった情報を音声で教えてくれるのです。
初めて第3世代iPod shuffleをMacやPC (で動くiTunes) に接続したとき、バックグラウンドでの動作となりますが、「ボイスオーバーキット」と呼ばれる小さなプログラムがインストールされます。14カ国語対応のこのプログラムは、iTunesの音楽ライブラリを分析する働きと、Text to Speechテクノロジ (文字列を人間の声に変換する音声合成技術) を使用して曲名などの音声を含むオーディオクリップを作成する働きを持ちます。つまり、MacとPCが音声合成というもっとも大変な作業を行うわけですね。ボイスオーバーキットは楽曲がどの言語に属するかを自動分析し、英語の楽曲だと判断すれば英語、日本語の楽曲だと判断すれば日本語の音声を使用します。そして作成されたオーディオクリップは、同期したとき楽曲とともにiPod shuffleへと転送されます。