――昨年12月に発売したEXILIMケータイ W63CAでは、待受画面上で動くミジンコが登場した。

辻村氏 カメラがメインの機種であり、また世界で使えるグローバルパスポートに対応したので「ジャーニー」というテーマで世界各国の写真を内蔵しました。待受画面に表示される世界の写真の上にミジンコが現れてイベントを展開します。従来のペンギンのように存在感をもって現れるのではなく、すごく小さくいので漫然と見ていたら気づかないかもしれません。ワイドVGAの高精細なディスプレイだからこそ採り入れたキャラクターとも言えます。

カシオケータイの画面デザインを手掛ける辻村氏

井戸氏 プラットフォームがKCP+に統一されて、待受画面にガジェットが表示できるようになりました。ほかにニュースフラッシュのテロップや天気アイコンなども表示されますし、待受画面がどんどん浸食されて、壁紙の画像が見えなくなっていくんです。であれば、隙間から顔をのぞかせやろうという発想が元となっています。

――W63CAには、時間帯や季節に連動するイベントなど、大きなものだけで約60パターンのシチュエーションを収録しているという。

辻村氏 ユーザーにとって意味があり、楽しんでもらえることを大前提にデザインしているので、パターン数にはこだわっていません。季節の行事に合わせて表示されるものなど、飽きられないように隠しパターンも入れていますが、それを多くしすぎると、普段のパターンを楽しめなくなる。日常的に楽しく使っていただきながら、ときどき新しい発見をする楽しさを味わっていただきたい。そういうバランスにも配慮しています。

――ミジンコが登場する「ジャーニー」は、今春モデルCA001にも受け継がれ、さらに人気のアデリーペンギンも再登場した。

CA001のメニュー画面

CA001

辻村氏 ミジンコが繰り広げるシチュエーションはW63CAよりも増やしたので、一年を通してさまざまな発見を楽しんでいただけると思います。「ジャーニー」で表現するものとかぶらないように、ペンギンはau Smart Sportsのカロリーカウンターと連動する別テーマのものを作りました。ユーザーが運動を続けるにつれて、ペンギンもスポーツが上達するというストーリーです。サッカーでは、ろくにリフティングもできなかったペンギンがオーバーヘッドができるようになったり、皇帝ペンギンを背中に載せて腕立て伏せができるようになったり……。8種類の競技を用意して、それぞれ5段階のアクションをデザインしました。相当頑張らないと全ては見られないと思いますよ。

CA001では、小さなミジンコたちが待受画面に登場し、イベントを繰り広げて去っていく

――カシオの画面デザインの魅力は、ユーザーがインタラクティブに楽しめることにもある。待受画面に表示できるガジェットやウィジェット、ユーザー個別の情報を配信するエージェント機能など、待受画面の用途が多様化する中で、画面デザインで表現できることも変化しつつあるようだ。

井戸氏 従来、待受画面は自分で撮影した写真を設定したり、ダウンロードした画像を設定したりして楽しめるものでした。そこに快適な使い心地と結びつけて提案してきたのが「ハート・クラフト」の画面デザインですが、その役割も だいぶ変化して来ていると思います。iPhoneなどはアイコンメニューを主体に操作しますし、待受画面がないに等しいですよね。そうした状況を踏まえて、カシオとしてできることを考えていきたいです。

――今後、ペンギンなどカシオの定番キャクターはどう進化していくのか? また、新キャラクターは登場するのか?

辻村氏 ペンギンについてはペンギン独自の世界観を大切にしていきたいと考えています。われわれはコンセプトが先にあってキャラクターやデザインを考えていますから、キャラクター主体で何かを作るということはないかもしれません。

井戸氏 他社と同じことをやってもカシオケータイの存在価値をアピールできません。むしろ、他社がやらないことに挑戦していきたいと考えています。

――ユーザーインターフェイスを向上させる過程で生み出されたカシオのキャラクターたち。今後の端末において、どのようなカタチでどのようなシチュエーションで、われわれユーザーを楽しませてくれるのかに期待したい。