--日本の状況についてどう考えるか? 最近はコスト削減の話ばかりが出てくる状況で、こうした新たな投資意欲をどのように喚起していくのか?
Falkenberg氏: 日本のITシステム文化とは、一度構築して起動したら、できる限りそのシステムを長く使い続けていきたいというものだと思っている。Software AGの顧客をみるだけでも、そうした過程を経てさまざまなシステムが混在している状態だ。システム統合の必要性とは、いままさにこの時期にあるようなものだと考える。世界各国をみても、BPMで成功しているプロジェクトは数多くある。
Brookes氏 いま経済危機が叫ばれ、企業のコスト削減が叫ばれている。こうなったとき、どうしても人々は内向きに考えたくなってしまう。ここにこそチャンスがあり、われわれの経営効率化のソリューションが活きてくると考える。こうした取り組みが、ひいてはコスト削減へとつながるだろう。
--コスト削減とはいっても、企業によっては2通りの考えがある。コストを削減したいのか? あるいはコストそのものを使いたくないのか? という点だ。この狭間で日本企業は揺れており、レガシーシステムを使い続けようというところもあるだろう。こうなるとSoftware AGとしては苦しい立場なのではないか。
Brookes氏 まず前提として、われわれはSOAを売っているわけではない。SOAは概念であり、別にSOAという製品を販売しているわけではないのだ。顧客がレガシーシステムを使用しているのであれば、それをどうやって改善していくのかのお手伝いをするのがわれわれのビジネスだ。また企業はコストを一銭も使いたくないという話だが、それではビジネスそのものが立ち行かなくなってしまう。ここで投資に対して説得力を持たせるのためにROIが重要となってくる。そのために(飛行機の航行高度のような)3万フィート上空から問題を見下ろすのではなく、顧客と同じ目線で問題を見ることで実現可能になる。これまでの実績で、1年以内にROIの部分で効果が確認できている。
Falkenberg氏: 米国や欧州でもいわれているが、論理的ではなく、あくまで実際に実行できてこその説得力だ。そしてそれを顧客に提示することで改めて効果を訴えることになる。一方で、BPMを戦略的に採り入れているという例もある。このあたりは多少時間差はあるかもしれない。
--どういった産業分野がこうした投資に積極的なのか?
Falkenberg氏: テレコミュニケーションの分野が代表的だ。彼らは最新のサービスを積極的に採り入れていく必要があり、また効果が出やすい。あるいは巨大なサプライチェーン、世界規模でフランチャイズを展開している企業だ。コカコーラやバーガーキングなどといえばわかりやすいだろう。これら企業は世界規模で何千以上もの店舗を抱えている。またビジネス効率化のコツとして、全体で一気に効果が出るのを期待するのではなく、例えばサプライヤーの1点で改善を実施し、それを段階的に拡張していくことで効果を高めていくという手法がある。
--「Think Big, Act Small」という考えがあるが、Software AGは同様のアプローチをとっているのか?
Falkenberg氏: インテグレーション技術をSOAへと引き上げていく段階で、その中に改善すべき点がステップ・バイ・ステップで発生していく。まさにそうした形といえるかもしれない。こうした各ステップにおいてビジネス改善を手伝うチャンスが存在しており、そのためのソリューションを持っているのがSoftware AGの強みだ。たとえばwebMethodsのBtoBからスタートした顧客が、その先の段階でBAMを導入するといった具合だ。日本のユーザーは導入したプロセスをきちんと運用していく点で優れており、こうした点で効果が期待できるだろう。
--日本のユーザーに対してメッセージは?
Brookes氏 SOAやBPMというキーワードを恐れないでほしい。Software AGは世界50カ国でビジネスを展開しており実績もある。日本の顧客の方々のビジネスのお手伝いをするために、ぜひチャンスを与えてほしい。その成果を見せたいと思う。